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日本の名作からインディペンデント映画までズラリ

日本映画クラシックス「炎上」

市川崑監督が自作でもっとも愛した作品が、4Kデジタル復元されて上映されます。

原作は三島由紀夫の代表作で、日本語の美しさが集約されているといっても過言ではない「金閣寺」。市川監督は、この原作をなぞるのではなく、もとになった事件を一から取材しなおすことで原作の良さを最大限に引き出していったといいます。

主人公が生まれ育った日本海沿いの村と、絢爛豪華な金閣寺の対比。そこに浮かび上がる、親子の情愛と、青年の孤独。そこには、文学と映画の理想的な関係があるのではないでしょうか?

日本映画スプラッシュ「ケンとカズ」

2013年に製作され、国内外の映画祭で注目された短編映画「ケンとカズ」。

その世界観を長編映画として結実させたのが本作。若手の注目作が揃うスプラッシュ部門ですが、なかでも一番イキがいい作品ではないでしょうか?

覚せい剤の売買をしていたチンピラコンビが、片方の彼女が妊娠したことによりバランスを崩していく。ストーリーだけみるとよくある話ですが、そこにあるのは圧倒的な人間力。上記の短編を見てもわかる通り、俳優たちの熱演が体感として伝わってきます。

寺山修司生誕80年 TERAYAMA FILMS「田園に死す」

©1974 テラヤマ・ワールド/ATG

日本映画界で、唯一無二の世界観を持っていたのが寺山修司。個人的には「書を捨てよ町へ出よう」が好きなのですが、今回は、集大成ともいえる、この作品をお勧めします。

映画監督の「私」は、自身の少年時代の映画化を進めているのですが、そこに少年時代が現れ、それが嘘の思い出に過ぎないことを告げるのです…。

圧倒的に美しく、かつ実験的な映像で作られる寺山自身の自分史であるとともに、芸術とはなんであるかを問う傑作。映画はかくあるべきという幻想にとらわれている、現代の作り手たちにこそ観てほしい作品です。

「ぴあ中部版」映画担当を経て上京、その後はテレビ情報誌、不動産雑誌・広告などの編集・ライターを務める。著書に『年収350万円でも家が買える』(2014年・彩図社刊)。また、映画監督としては、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭などで注目され、2002年「異形ノ恋」(出演・西川方啓、木下ほうか、寺田農)でデビュー。