ひとくちに別居といっても、夫婦が別居に至る事情はさまざま。

「いつまでもお互いを男女として意識したくて、適度な距離感を大事にしたい」という理由で、クルマで行き来できる”近距離”で別居婚をしているとの報道もある、平子理沙さん&吉田栄作さん夫妻のように、自ら進んで選択する別居婚もあります。

今回は、夫婦別居のリアルや夫婦の良好な関係を壊さない別居時の心がけについて、2万人を超える夫婦のカウンセリングを行ってきた、夫婦カウンセラーの木村泰之さんにお話を伺いました。

一緒にやること、強制しないこと――2種類の決まりを設けよう

夫婦関係に悩む多くの男女から、相談を受けてきた木村さん。
最初に、平子理沙さん&吉田栄作さん夫妻のような別居婚は、一般人の間でもじわじわと増えているのか尋ねると「決してそんな印象はないですし、これからも定着しづらいのでは」と話します。

「それぞれが住まいを借りたり、買ったりするわけですから、お互いが経済的に自立していない限り、なかなか成り立たないといえます。少子化や晩婚化が進む昨今では、逆に『夫婦で一緒に暮らしたい』と考える人の方が多いのではないでしょうか。これからもそういった層が減ることはないでしょうね」

ただし、この別居スタイルが合う夫婦もいると、木村さんは指摘します。

たとえば、リタイア後に特定の場所でしか没頭できない趣味がある、といった何らかの事情があるケース。
夫が農業にチャレンジしたいと本気で思っていても、妻は全く乗り気でなければ、住まいを別にして趣味を満喫するのはひとつの手でしょう。

「夫婦の円満な関係を維持したまま、この形の別居を行うには条件が必要です。別々に住むわけですから、過度な束縛をするのもダメですし、万一何かあっても責める材料にはしないことでしょう。ただ、何ひとつルールがないと独身時代と変わらないので、(1)これだけは一緒にやる、(2)これは強要しない、といった二面性のある約束ごとを設けると良いと思います」

(1)の約束事だと「家族の誕生日は一緒に過ごす」「子どもの学校イベントには夫婦で参加する」、(2)の約束事だと「メールは毎日でなくてもOK」「土日は無理して一緒に過ごさなくてもOK」など、十分な話し合いの上で決めてみてはいかがでしょうか。