「第28回東京国際映画祭」もオープニングと最初の週末を経て、平日の上映が始まったが、ゲストによるトークつきの上映に多くの人が足を運んでいる。コンペティション部門の作品もすでに半分以上が1回目の上映を終え、各作品の評価や賞の行方についての話題も徐々に出始めている。

10月26日(月)には、日本から出品された『FOUJITA』、そしてイタリア発のコメディ『神様の思し召し』が登場! 気になる上映後の観客の感想と評価は?

『FOUJITA』

『FOUJITA』 ©2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション

満足度:83.6

<項目別5段階評価>

俳優:4.4
ストーリー:3.6
音楽:3.7
演出:3.5

『泥の河』『眠る男』など海外でも高い評価を得ている小栗康平監督の10年ぶりの新作で、画家の藤田嗣治の姿を描いたオリジナル作品。戦前の1920年代のフランスで“エコール・ド・パリ”の寵児となった一方で、1940年代に帰国した日本では戦争協力画を描いたことで非難を浴びるなどフジタ=藤田が生きた二つの時代と文化を描き出す。

知られざる藤田の人生――特に戦争を経ての激動の時代を異なる文化圏で生きなくてはいけなかった芸術家の悲劇に言及した感想が多く寄せられた。

「2つの時代、場所を生きなくてはならなかった芸術家にとっての悲劇は、全ての人が共感できる思いなのでは? 大きな絵作りが印象に残りました」(50代・男性)

「藤田という人物とその背景(時代・国)の融合が、とても崇高に描かれていました」(女性)

「ふたつの国と時代と文化に生きる、芸術家の心のさまよう姿が心象に残った」(49歳・女性)

また、小栗監督の演出、藤田を演じたオダギリジョーを称賛する声に加え「音楽の使い方が素晴らしかった」という感想も多く見られた。

ちなみに、これで日本映画3作品(『FOUJITA』『さようなら』『残穢』)が出揃ったが、出口調査ではいずれも83点台とまずまずのハイアベレージを叩き出しており、グランプリ獲得に期待がかかる。