そして、『春煌花-SAKURA-』で今にも泣き出しそうな表情をみせる猟牙に違和感を覚えるフロア。
そして何かを振り払うように『Recall the mind』、続いて「いつもの行こうか?」と『RADICAL HYSTERIA』では最高潮を迎えるも、曲が終わり、猟牙がゆっくりと口を開くと、

「2016年になっちゃいましたよ…。気づけば何年も時がたってて、バンドをはじめてから1年がすごく短いんだ。それだけ濃密な日々を過ごしてるし、皆と共有できてるのかな」と語り、続いて「いろんなことがあったけど、いつだってお前らがいて……」と声を震わせる。フロアからは悲鳴に近い声が飛び交う。

BORN・猟牙(Vo) 撮影・フクシアヤミ

「BORNのために生きていたと思います、みんなもそんなBORNが好きだったからこそ、一緒に走り続けてくれたと思う。俺にとっての全てです。でも、悔しいけど力不足だったこともあった、いろんな人が助けてくれたし、お前らに会えた。このメンバーだから、笑いあえたんだ」

そして、5月26日Zepp DiverCityの解散を告げ、
「ひとりひとりが自立して、前に進むための決断だったと思う」と続けた。

叫ぶ人、呆然とする人、立っていられないくらい泣き出す人…。
目をつぶるK、Ray、うつむくTOMO。ゆっくりとその反応を飲み込んだあと、猟牙の「ビッグなバンドにはなれなかったかもしれないけど、誰よりも愛にあふれていたと思います。最後です」という言葉から、最後に想いを込めるように演奏された『HONESTY』へ。

BORN・Ray(G)、猟牙(Vo)、美央(サポートB) 撮影・フクシアヤミ

ダブルアンコールは『ケミカルロマンス』。いつもどおり? いや、いつも以上の狂騒。バンドとファンの強靭さをみせつけてくれた。

BORNとしての活動は8年、そしてそれ以前の同メンバーでのバンド活動も含めて遡ると10年を越える。そんな彼らの長い歴史に、ひとつの区切りがつくことになってしまう。

どういう理由があれ、BORNという存在は5月以降失われてしまう。どんなに思案したとしても、すぐに気持ちの整理がつくわけでもなく、ダブルアンコールが終わったあとも、フロアからはBORNを求める声は止まない。終演アナウンスが何度流れても止まない。その気持ちは、こちらにも痛いほど伝わってくる。

最後に強い口調で終演を告げるアナウンスが流れると、声はやんだ。そして誰が呼びかけたわけでもなく、お互いに労うような拍手が響き、この日の夜は終わった。

「BORN解散」の報はSNSを席巻し、様々な意見が飛び交った。それも落ちついた頃に、ベストアルバムのリリースも発表された。リスナー側がどんなに気持ちに折り合いがつかなくとも(きっと、おそらく、バンド側だってそうだ)、時間は流れていく。バンドだってファンだって永遠の、不変不動のものじゃあないのはわかっているけれど。

先ほど、『BLASTED ANIMALS』の歌詞をシーンへの意思表明のようと書いたのだが、この曲にこんな一節がある。

「これから先 どれくらい生きれるのか? わからないよ でもきっと後悔はしないだろう」

『BLASTED ANIMALS』

5月までの間、満身創痍だけど超かっこいいバンドが駆け抜けていくのを固唾を呑んで見守るしかないのだ。
後悔は、しないように。

BORN 撮影・フクシアヤミ

【セットリスト】

1.BECAUSE
2.Extremely waltz
3.Vermin’s cry
4.more Deep
5.RED DESIRE
6.壊死
7.剥愛のスローモーション
8.foxy foxy
9.嫌
10.殉恋歌
11.排梳ノ蝶
12.THE STALIN
13.BLASTED ANIMALS
14.Criminal Berry
15.零未来-zeroAsu-
16.BREAKTHROUGH
17.DIRTY STACKER

【アンコール】
EN1.Innocent Bullet
EN2.Rotten cherry
EN3.黒蟻
EN4.春煌花-SAKURA-
EN5.Recall the mind
EN6.RADICAL HYSTERIA
EN7.HONESTY

WEN.ケミカルロマンス

ライブ情報

<BORN 8th ANNIVERSARY SPECIAL ONEMAN LIVE【SUPER BLACK MARKET】>

2016年5月26日(木)東京・Zepp DiverCity
OPEN18:15/START19:00