■ヴィジュアル系冬の時代を生き抜いたJanne Da Arc

ABCとしてのキャリアは'07年からですが、yasuがボーカルを務めるJanne Da Arcがメジャーデビューしたのは今から10年以上前、1999年です。エイベックスという大手のレコード会社から華々しくデビューしたわけですが、当時すでにSHAZNAなどを中心とした「ヴィジュアル系バンドブーム」はもう下火、もちろんヴィジュアル系シーンの内側ではPIERROTやDIR EN GREY(当時の表記はDir en grey)など、熱狂的なファンに支持されたバンドのデビューは続いている状況だったのですが、ブームの火付け役となったヴィジュアル系専門番組「Break Out(テレビ朝日)」もヴィジュアル系から当時勢いを増していたメロコア系にシフトチェンジ。

当時人気絶頂だった黒夢も'99年に活動休止、LUNA SEAも2000年に終幕(事実上の解散)し、世間的には「ヴィジュアル系バンドって終わりじゃない?」という空気…そんな時代を彼らは生き抜くことになるのです。メンバー自身もデビューから1~2年の間はレコード会社との関係もうまく行かなかったと『私も「ヴィジュアル系」だった頃。』(竹書房)」で回想しています。

3枚目のアルバム『GAIA』からL'Arc~en~Cielなどのプロデュースで有名な岡野ハジメ氏を起用、以後バンドも軌道にのるようになり、yasu自身が執筆した小説と連動させた意欲作『ANOTHER STORY』などを発表し、着実にキャリアを積んでいきました。
そして大きな転機となったのが2005年にリリースされ、アニメ「ブラック・ジャック」のOPに起用された『月光花』です。

これが30万枚を超えるバンド最大のヒットとなり、彼らの知名度を大きく飛躍させることになります。2006年にはさいたまスーパーアリーナでのライブを成功させるなど、活動の規模はどんどん大きくなっていきました。

その後、Janne Da Arcは2007年にしばらくソロ活動を行うと発表、現在まで、正式な活動休止宣言などはありませんが、事実上活動は止まっている状態です。その後、yasuはABCとして活動をスタート、その活躍は最初にあげたとおりです。