『初恋モンスター』(作 日吉丸晃)
女:高校1年生 男:小学5年生
「もし初恋相手の超イケメンが小学生だったら…?」という突拍子もないアイデアを本気で実現させた作品。
ゼッケンをつけた体操服姿の美少年が「で…俺 小学生だけどどうする?」と話す見開きページが有名で、少女漫画は読まなくてもこのシーンだけは見たことがあるというネットユーザーも多いだろう。今年の夏からはテレビアニメ放送も予定されている。
主人公は箱入り娘として育ってきた高校1年生・夏歩。進学を機に初めて一人暮らしをはじめ、そこで出会った奏という美少年に恋をする。だが身長170センチを超える超イケメン男子の正体は、なんと小学5年生だった。こうして不器用な少女と無軌道な男子の恋愛ストーリーが始まる。
出落ちのような設定だが、読んでみるとなかなか楽しい。奏は中身が小学生そのままなので、世間のことや恋愛についてもほとんど知識なし。それでも夏歩の立派な「彼氏」であろうと精一杯の努力をする。しかし「フラフープまわし200回連続を達成できなければ交際解消する」など、やはり小学生特有の変なルールも邪魔をして、経験値が低い2人の恋路は波乱万丈だ。
考えてみれば彼らの不器用さ、そして“恋愛における手探り感”は子供時代に限らず、社会に出てからも多々経験することだ。そうした意味で本作は少女漫画の枠を超え、むしろ大人の男女が読んでも恋愛の参考になるかもしれない。
『甘々と稲妻』(作 雨隠ギド)
男:20代後半? 女:高校1年生
妻を亡くして間もない高校教師、幼い娘、そんな2人に寄り添う女子高生の日々を描いた“食育系&ホームドラマ風味のほんのりラブコメ漫画”。
「このマンガがすごい!2014」オトコ編、そして2015年に実施されたネットアンケート「アニメ化してほしいマンガ作品は?」それぞれでベスト10入りを果たしている。こうしたファンの支持もあり、今年7月からテレビアニメ放送がスタートする。
主人公の犬塚は温和でマジメな高校教師。妻に先立たれてからは5歳の娘を一人で育てている。ヒロイン的ポジションの小鳥は、犬塚が副担任を務めるクラスの高校1年生。母親はテレビ出演もする料理研究家で、離婚しているため父親は不在。
犬塚は娘のために料理をおぼえたい、母親が仕事で出かけてばかりの小鳥は自宅(料理屋)に誰かがいてほしい……ひょんなことからお互いの利害が一致しているのを知り、父娘と少女の3人で料理を作って食べる“お料理会”を開くようになった。
今回紹介した中では恋愛要素が控えめで、「イクメン教師の奮闘」「娘のすこやかな成長」「女子高生の淡い恋心」という3本柱が作品のテーマ。小鳥は早い段階で犬塚への感情に気づくが本人には伝えておらず、そもそも純粋な異性への恋心なのか、娘とセットにしての家族愛的なものなのか、あるいは犬塚に父性を求めているだけなのかハッキリしない。逆にそのあたりがリアルだ。
掲載誌は男性向けだが作風はむしろ女性的で、誰にでもオススメできる。