子どもには「親」が必要だと思いますか。
さて、あなたならどのように答えるでしょうか。この質問を投げかけられれば、多くの人が「必要である」と回答するかもしれません。
では、子どもに「親」が必要なのはなぜですか。
子どもに「親」が必要だと考える人は、その理由は何でしょうか。親の責任だから?子どもは親がいないと育たない? この質問には、きっとそれぞれの価値観が深くかかわってくると思いますが、実際にはどうなのでしょうか。
今回は、日本の乳児院、児童養護施設で暮らす子どもたちの現状や特別養子縁組について、特別養子縁組の普及を目指して様々な活動をする日本財団のご担当者にお話を伺いながら、「親子」の関係について考えていきたいと思います。
子どもに「親」が必要なのはなぜ?
命を授かったからには、その命に責任を持つのが親である。
それは疑問を持つまでもないことかもしれません。
でも、本当に親は必要なのでしょうか。
日本財団のご担当者にお話を伺いました。
「赤ちゃんをお母さんから引き離されそうとすると泣いてしまったり、怖い思いをするとお母さんの元に逃げ帰ったりする姿を見たことがある人は多いのではないでしょうか。これは、お母さんと赤ちゃんの間で愛着(アタッチメント)の関係が安定しているからです。
虐待やネグレクトをうけた赤ちゃんや、不特定多数の大人に育てられた赤ちゃんは、アタッチメントに障害がおこりやすく、これは長期的に子どもの発達に悪影響を及ぼす可能性が高くなることが、多くの研究で実証されています。」
赤ちゃんは特定の養育者(親やその代わりになる人)との愛着を育てていくことで精神的な安定を図ることができるようになります。
成長の過程で特定の養育者に育ててもらうことが「人への安心感」を育てるために重要であるということ、つまりその子に愛情をもって育ててくれる誰かが必要なのですね。