アイドルは、根性とガッツがあるから、舞台がうまくいく

――最近、アイドルや若手女優中心の舞台が増えていて、しかもとても面白い舞台が多いように感じます。
根本「アイドルさんって、根性があったり、ガッツがあるなって思うので、うまくその根性がやる題材と合うと舞台がうまくいくことも多いと思うんですよね。エビ中(私立恵比寿中学)さんもグループで演劇公演してたり。

グループでの公演って、元々息の合ったメンバーで芝居作りをするから、コミュニケーションをとる時間が少なくて済むんです。そこは、グループアイドルの特権だと思います。」

――たとえば、ハロー!プロジェクトさんの演劇女子部シリーズも、限られた時間の中での稽古だと思うんですが、息がぴったりでものすごいクオリティです。

根本「小学校から中学生の頃、モー娘。をはじめとした、ハロー!プロジェクトが大好きだったんです。ハロプロの方って、持っているプロ意識がすごい高いと思うんですよ。

一ファンの印象ですけど、私たちが失敗したら終わりだ!っていう責任感が強いのかなと。」

AKBの舞台裏で起きている混乱を、演出で作り上げていきたい

――根本さんは、現在もアイドルに影響を受け続けていますか?

根本「以前は出来上がったものを見せていたけど、今のアイドルは、裏側まで見せる。それを見た時に、ものすごく感動するんですよね。

AKB48のドキュメンタリーとか観てても全員そろってのリハーサルなんて、当日ぐらいにしか出来ない。だから、舞台の裏側で「次どこ?」って走り回っているんです。本番中にですよ!?びっくりですよ。」

――ああ~、そうなりますよね…。

根本「どこ?どこ?って言いながら走っているのを見た時に、次に自分がどこに行くかわからぬままに、それでも2時間のステージをやりきる精神力がマジですごい!って思ったんですよ。」

――たしかに、多忙な毎日の中で大規模ステージにも立つっていうのはすごいことですね…。

根本「私自身は、完璧に準備していないとダメなんですよ。心配性だし、準備してないと失敗することが多いから。

AKBは、他の仕事もあるし、みんな忙しい中で、準備の時間が取れなくてもメインのメンバーさんたちは一定のクオリティまで持ってくるんです。すごい世界だな、と思って…。

私はすげー準備しないとあれが出来ないなと。ライブと演劇は違いますけど、けどエンターテイメントとして見たらねえ。」

――うーむ、たしかに。

根本「私は、それを、自発的に演出したいんです。AKBが「どこ?どこ?」って走っていく感じを、準備してお客さんに出していくんです。その熱量、その過程って、傍から見たら面白いじゃないですか?どんどんワケわかんなくなっていくっていう。

どこまで計算?って思われたいし、なんなら今日だけ偶然その面白さが生まれたのかな?と思われてもいいくらい。もちろんそんなことはなくって、全部計算されているけど、どれだけそれを新鮮に見せるかが勝負です。」

――なるほど、舞台裏の熱量や混乱を演出して生み出す…。今回の作品は、そんな作品なんでしょうか?

根本「一度自分自身を主役にしたストーリーを書いたことがあるんですが、それから皆さんが毎回「これは実体験を元にしているだろう」って思うようになって…。今回は絶対実体験じゃないだろうっていうものを書きました(笑)。

「最近の根本さん、こういう感じだよな」とか、「ここまで前回やったから、このくらいやっても大丈夫だろう!」とか…。みなさんの中に、私のイメージがある状態がいいんですよね。

そういうのがある中で、皆さんと一緒に作り上げていくのは、ある意味アイドルさんと近いのかも。っていう作り方を去年くらいまではやって。今年は新しいとこに行こうとしてます。」

基本、男性ってマザコンじゃないですか?

『忍者、女子高生(仮)』

――ううむ、ますます気になります。『忍者、女子高生(仮)』はホームドラマだとか?

根本「家族の話なんですけど…日常的な舞台で、いわゆる会話劇。長男、次男、三男といて、4人目の長女が女子高生で。

4人と、そのお母さんの関係を描いた物語なんです。シーンごとに、3人のお兄さん役が、入れ代わり立ち代わりお母さんを演じるんですよ。」

――えーと、ますますわからなくなってきました(笑)。

根本「女親って、男の子のほうがカワイイって言いますよね。私の友達で、弟のいる女の子がいて、その子は、弟が生まれたら放置だったらしいんですよ。虐待とかそういうレベルじゃないけれど。

女の子は自分で出来るでしょ?!って言われ続けたらしくて。母と息子に対して、そういうイメージがずっとあって。母と息子の仲がいいのもいいけど、行き過ぎると、危ないよって。」

――今回のテーマは、母性?!

根本「うーん、母性というよりも、母性に対する男の人の気持ちかな…。誰も、自分をマザコンと思っていない…。基本、男性ってマザコンじゃないですか?

ストーリーの最初のほうで、長女の担任とお母さんが、結婚することになるんです。3人兄弟よりも若い父親…。なんで結婚したかっていうと、亡くなったお母さんと見た目が似てたから…。」

――というと、今作は、マザコン男たちのストーリーなんですか?

根本「それを、かなり過剰に描いたんですよね。結婚してる方から見たら、姑問題を描いた、みたいに見えるかもしれないけれど。今回は、一人以外はまだ結婚してない役者でやってるので、フィクションぽくて他人事と笑える部分もあると思います。」

――ちなみに、なぜ忍者なんですか?

根本「女子高生が忍者部に所属していて、家のいろんなところからみんなを監視してるんですよ!忍者は一人です。」

――うーむ、想像もつかない(笑)。女性キャストが中心の作品、というわけでもないんでしょうか?

根本「これまでは、芝居を女性が引っ張る舞台が多かったんですけど、今回はかなり男性が引っ張る舞台になりますね。

去年、同じメンバーで、最終的に女の人が一歩前進する話をやったから、今回は男性が引っ張る話です。」