DEZERT

そこから『脳みそくん。』、『MONSTER』、いつもよりずっと高速化した『doze.』、そして『切断』。アッパーチューンの連続に、ひとつの塊のように荒れ狂うフロア。

狂騒の中で、「生きてるならそれでいいじゃん」
「生きたくなくて、死ねない、ことがあってもいいじゃん! ラスト…」

SORAのシンバルから始まったのはもちろん『ピクトグラムさん』。

過去も現在も未来も全部欲しがって
キリがないんだよ。意味もないんだよ。
苦しみで吐いて喜びで跳ねて
それでいいんだよ みんなそうだろう?
言葉にできないならピクトをあげるから『ピクトグラムさん』

「ピクト」の部分を「傷跡」に言い換えていたことも、きっと無意味なのかもしれない。さっきまで狂乱の底にあったフロアのファンたちもただひたすらステージをじっと見つめている。これもある意味「一体感」なんだと。

演奏を終えると無言ではけていく千秋。ギターを誇らしげに掲げるMiyako、ベースをステージへ捨て去って行くSaZ、ドラムヘッドやスティックを大盤振る舞いと言わんばかりにフロアに向かって投げ、最後にSORAの「また会おう」のひとことで終演となった。

“この場所には救いはない”、の『「あー。」』ではじまり、“不安定でいい 孤独だっていい”の『「ピクトグラムさん」』で終わったこのライブは予定調和的かもしれない。でも、それでいいと思う。“苦しみで吐いて喜びで跳ねて”いびつに突き進んでいった結果が、今日のこの光景であることには変わりがないもの。

予定調和を崩すことを期待されつづけて、「予定調和を崩すことが予定調和」になってしまうかもしれないし、先のことは誰にもわからない。
そしてバンドが「意味がない」といっても、こちらが意味づけをする自由は、ある。

会場を出て最寄駅に向かうエスカレーターで、「無意味なんかじゃないよ! 最高だよ!」と興奮冷めやらぬ様子で語り合っているバンドグッズを身につけた女の子たちとすれ違った。

私も、そう思う。

“最高の”“楽しい”ツアーファイナルでした。

セットリスト

1.
2.「あー。」
3.「君の子宮を触る」
4. 肋骨少女
5.「遺書。」
6. 大塚ヘッドロック
7.「殺意」
8.「追落」
9.「おはよう」
10.「宗教」
11. 包丁の正しい使い方~思想編~
12.「教育」
13.「不透明人間」
14.「セイオン」
15. 包丁の正しい使い方~終息編~
16.「秘密」
17.「擬死」

18.「遭難」
19. 脳みそくん。
20. MONSTER
21. doze.
22.「切断」
23.「ピクトグラムさん」