近年、東京・横浜・大阪・名古屋などの大都市に人口が集中しており、地方の人口減少が社会問題となっています。

特に東京は「一極集中」と言われ、増えすぎていることによる影響がさまざまな面で出ており、解消していかなければならない問題の1つとなっています。

大都市は生活に必要な施設が揃っており、交通の便も良く、住民に対する自治体の支援も手厚いと言われていますから、便利で住みやすい環境が整っていますが、このような環境は大都市でしか叶わないのでしょうか。

そこで今回は、家賃や物価が安く、子育てしやすい地方都市を「家賃」「消費者物価指数」「人口密度」などの観点からご紹介します。

住みやすさを決めるポイントはコレだ!

人々にとって住みやすい街とは、スーパーやコンビニ、教育施設や病院が人口に見合った数だけあり、休日に家族でくつろげるような公園や自然が適度にあり、物価や家賃が安い街を想像しますが、そのような魅力的な街は探せば地方の都市にも存在します。

そのような都市はいったいどこにあるのか。そんな中、日経マネー研究所は「これが地方移住に向いた都市だ」の中で、1つの指標となるデータを発表しました。

そのデータによると、人口30万~70万人程度の県庁所在地で、人口密度が1平方キロメートル当たり1000人以上、消費者物価が東京都区部より低く、家賃が半分以下である地方都市を「住みやすい地方都市」としています。

これら全ての条件を満たす地方都市は以下の7つがありました。

  • 岐阜市
    人口密度(人/㎢):2,013、 消費者物価指数:98.8、 家賃指数:41.9
  • 熊本市
    人口密度(人/㎢):1,881、 消費者物価指数:99.3、 家賃指数:45.2
  • 奈良市
    人口密度(人/㎢):1,290、 消費者物価指数:96.9、 家賃指数:48.1
  • 宇都宮市
    人口密度(人/㎢):1,254、 消費者物価指数:99.6、 家賃指数:44.3
  • 松山市
    人口密度(人/㎢):1,195、 消費者物価指数:98.9、 家賃指数:40.5
  • 高松市
    人口密度(人/㎢):1,141、 消費者物価指数:99.3、 家賃指数:47.7
  • 前橋市
    人口密度(人/㎢):1,083、 消費者物価指数:96.8、 家賃指数:43.0

※消費者物価指数は2018年のデータ
※消費者物価指数地域差指数の家賃を除く総合で東京都区部を100として計算。
※家賃支出は小売物価統計調査(動向編)より算出。

このように、「消費者物価指数」は東京と大差がありませんが、家賃については大きな差があることが分かります。

つまり地方移住の最大のメリットは「家賃の安さ」にあると言え、それが住みやすく子育てしやすいことと結びついていると言えるでしょう。

そしてもう1つ、住みやすく、子育てがしやすい街を決める指標があります。それは「人口密度」です。

大都市に住んでいる人は人の多さにストレスを感じ、移住するなら出来るだけ人が少ない静かなところを選ぶ人もいますが、人口密度の高さも生活をしていく上では重要となります。

その理由は、多くの企業や店は人口密度などの地理的基準において市場を細分化し、出店戦略を立てる傾向にあるからです。

生活に必要な食料品や雑貨、衣料品などを扱う商業施設は出来るだけあった方が便利ですし、ある程度の人口がないと、税収も期待できませんから保育や医療、介護サービスも十分に受けられなくなる可能性があります。

実際に住んでいる人からの話や体験談が最も参考になることに違いありませんが、それ以外に住みやすい街を見極めるポイントが「消費者物価指数」「家賃指数」「人口密度」のような数値化されたデータであることも頭の片隅に置いておきたいものですね。