マニュアルや育児書に捕われすぎない!

自我が芽生え始めた子どもが言うことをきかないのは、健全に成長している証なのですが、理屈でわかっていてもなかなか気持ちがついていかないもの。

「マニュアルや育児書は、とらわれ過ぎないほうがいいんです」と手塚さん。

「読むと、その通りにできない自分に落ち込んで、責めて…自分をほめない回路がどんどん太くなってしまう可能性があるんです。
逆に、脳にほめ言葉を言い聞かせることで、思考が変わっていくのです。思考を変えるには、言葉を使うことが近道です」

“自分をほめる”事を続けると、ひとつの物事を別の視点からみられるようになる事もあるんだそう。

たとえば、今までは子どもがかんしゃくを起こす度にイライラしていたのに、「こんなに自分のやりたいことをしっかり持っているんだ。成長したなあ」と冷静に見ていられるような余裕が出てくる。それだけで子育てが少し楽になりますね。

行き詰った時の打開策は?

とはいえ、落ち込むことが続いたりして、“自分をほめる”のが難しいと感じる時はどうすればいいのでしょうか?

「落ち込んでいる時は、まず自分によしよし、と共感してあげるんです。絶対に責めないこと。それから、でもいつまでも落ち込んでいるのは自分にも損だからがんばろう、と慰めてから、ほめ日記を書く事がおすすめです」

落ち込んでいると、ほめることが何も浮かばないような気がするのですが…

「そんな時こそ書くんです。よしよしすると、二つ三つ書けるものです。初めは、慣れないかもしれませんが、何事も練習が大事。慣れないことをやるのが練習ですから」

と手塚さん。そうすることで、いつしか落ち込みから立ち直るのも早くなってくるのだそうです。

ほめ日記を始めて変わったという例を数多く見てきた手塚さんは、自信を持ってそう言われていました。

子どもをほめられない理由が自分にある、というのは驚きですが、よく考えてみたら、自分にさえ優しくできないのに、他人に優しくするというのは難しいのかもしれません。

本書には、子どもの書いたほめ日記も載っています。お子さんが少し大きくなった時、親子で一緒にほめ日記をつければ、より素敵な親子関係が築けそうですね。

 

取材協力:手塚千砂子
参考:内閣府 平成26年度版 子ども・若者白書