若干前置き説明が長くなってしまったが、Google日本語入力のメリットその1は、基本的な変換能力の高さだ。長めの文章でも文脈から変換候補を判断して、ストレスなく打ち込むことができる。MS-IMEでは変換ミスする「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした(貴社の記者が汽車で帰社した)」といった紛らわしい文章もきっちり一発変換してくれる。
数千円から一万円を超えるATOKにはやや遅れをとる場合もあるが、個人的な評価では「ATOK > Google日本語入力 >> MS-IME」といった印象。MS-IMEの機能はひと通り網羅しているので、無料IMEの比較ではほぼ上位互換と言ってもいい。
タイプミスを指摘してくれる機能も地味に便利だ。たとえば「シュミレーション」と変換しようとしたら、正しい「シミュレーション」のほうを提案してくれる。Googleのウェブ検索にもある「もしかして」機能のIME版といったところで、つまらないミスを減らすことができるだろう。この機能はアップデートによって今後ますます使いやすくなる予定らしいので期待したい。
次にメリットその2――というか最大最高のメリット――は、固有名詞や流行語の変換に異様なほどの威力を発揮する点だ。インターネットから辞書を作成しているためで、いわゆる“タイムリーな言葉”の変換効率では有料のATOKすら遙かに凌駕していると感じる。
Google日本語入力をインストール済みの方は、リアルタイム変換とサジェスト機能をOFFにしない状態で(つまり標準設定のまま)いろいろ試してみてほしい。以下、その凄まじい変換能力を示す例をいくつか挙げてみよう。
たとえば芸能人。
「きゃりーぱ」だけで「きゃりーぱみゅぱみゅって」までサジェストされます。
たとえば去年の流行語大賞
「なでしこ」だけで「なでしこジャパン」「なでしこ世界一」などサジェストされます。