ドイツ人の皮肉が日本人には通じない
――どちらかと言えば良い意味でのカルチャーショックですね。ちなみに、その後日本へ引っ越した際に、旦那様の方でカルチャーショックを受けていたことはありましたか?
夫も日本に留学していたことがあったので、引っ越しに際して特別カルチャーショックを受けたということはないようなのですが、いつも「日本人は皮肉が通じない!」とは言っていますね。
実はこれは夫婦間で今でもあることなのですが、夫がたった今私にやってほしかったことを私がやらなかったりすると、「ありがとう(笑)」って言われるんですよ。
明らかに皮肉なんですけど、やっぱり私は今でも通じないところがあって……。「もうそういうのやめてよ!」って思っちゃったりしますね。
日本人は、自分が相手に対して抱いている嫌な感情とかをできるだけ伝わらないように穏便に済ませようという部分があると思うので、あまりそう言った皮肉は言わないですよね(笑)
いずれにしても何事に関しても曖昧さがなく、主義主張がはっきりしていますね。
「どうもありがとう、でも自分はもっとこうして欲しかった」というように、相手を肯定しつつも、思うところがあったらチクリと主張してくるところはあります。
――となると、やはり子育てに関しても旦那様の主張が強く反映されているのでしょうか? やはりお子様の話す言語もドイツ語ですか?
口喧嘩では、日本語でも私の方が負けることが多いんですが、子育てに関してはやはり母親である私の方に決定権を委ねてくれていますね。
言語に関していうと、次男はまだ1歳なのでまだ言葉らしい言葉は話さないのですが、6歳の長男は完全に日本語ですね。2歳くらいの時の方が夫の話すドイツ語を理解していたように感じます。
ドイツの子育てはその都度対処する方針
――お子様はオール日本語なのですね! 国際結婚夫婦の間に生まれた子どもは自然とバイリンガルになるイメージでした。
本当はバイリンガルになってくれればな〜と思っていたし、そうなるだろうと思っていたんです。
言葉が出始めた時にちょっと頑張ってドイツ語で話しかければ良かったのかもしれないのですが、夫も日本語が話せるのでどうしても家族共通で意思疎通が取りやすい日本語で話してしまって……。ちょっと楽しちゃったんですね……。
バイリンガルにしたいなら、国際結婚でも親がある程度意識的にもう一方の言語を話す環境を作る必要があると感じました。
やはり夫としては、母国語であるドイツ語で会話できないのはちょっと寂しいみたいですね。
――日本とドイツの子育ての考え方の違いなどはあるのでしょうか?
子育てに関しては、どちらかというと私の方が神経質で、例えば子どもが公の場で騒いだ時など、「人に迷惑をかけないように」と考えてしまうのですが、夫の方は「いいじゃん! 子どもなんだから!」という風に、周りにどう思われるかというよりも、子どもの性質というものを重視しているように思います。
日本人は転ばぬ先の杖といった感じで、子育てに関しても、取り巻く周囲の人間に対しても、先回りして対策を打つ傾向があると思うのですが、夫や他のドイツ人の友人を見ていて思うのが、「明らかなルールがあれば従うけれども、それ以外は何か問題が起きたらその都度対処する」という姿勢があるように感じます。
これは国が違うから、というだけでなく、もっと広い意味で育った環境などにに依存するのかなと思いますね。