今まで目の前にいた、自分の子どもが自立していく(巣立っていく)ことで、喪失感や空虚感が湧き起こり、精神的に不安定になってしまう人を「空の巣症候群」といいます。
昔の日本の家族は、何世帯も一緒に生活する“大家族”が主流でした。
しかし、近年は核家族化が一般化していることや、一人っ子も増えていることで「子どもに向ける思い」が偏ってきていることが原因で起こる心身の不調が注目されています。
空の巣症候群になってしまう原因
夫婦問題カウンセラーである筆者の立場から検証すると、空の巣症候群になってしまう要因の1つには、「内と外のバランス」が大きく関係していると思われます。
どういうことかと言いますと、家庭内での夫とのコミュニケーションと、友達や仕事関係の人たちとのコミュニケーションのバランスが上手くとれている人は、比較的に空の巣症候群にはなりにくいということです。
内向的で内にこもりやすい人は、悩みや思いを1人で溜め込んでしまうため、“出口”を見つけにくい傾向があります。
また、夫との関係が冷め切っていると、夫に受け入れてもらえない虚しさが子どもへの執着となって表れてしまうことがあるのです。
それに比べ、“内と外のバランス”がとれている人は、子どもが巣立った後の“達成感”や“充実感”を感じることができたり、スムーズに気持ちを切り替えたりすることができます。
空の巣症候群に陥りやすい人の特徴
- 人付き合いが苦手。
- 趣味もなく、子どもだけが生きがい。
- 義理の両親や自分の両親との交流があまりない。
- 完璧主義だ。
- 夫との関係が良好ではない。
- どちらかというとマイナス思考だ。
- 優先順位は、夫よりも子ども。
上記の内容の他に、空の巣症候群に陥りやすい人は、「自分軸」が確立していない女性が多い傾向にあります。
子どもが生まれると、どこの家庭でも「子ども中心」になりやすいのは当然だとも言えるでしょう。
しかし、子どもの成長と同時に、自分自身も成長していくことを意識し、「自分の軸」をしっかりもつようにしないと、一人取り残されたような空虚感に襲われてしまうことがあります。
また、夫に対して不満を多く抱えている人は、心の癒しを子どもに求めてしまう傾向があり、子どもに依存してしまう人も少なくありません。