食べるだけで筋肉がつく?と聞いたら、皆さんはどんな食品が浮かぶでしょうか?食べるだけで筋肉がつくことが、最新の研究にて明らかにされた、とある食品があるんです。
その食品の主な研究成果について語ってくれたのは、愛媛大学大学院農学研究科生命機能学専攻 教授の岸田太郎先生。
食べるだけで筋肉がつく魚
その食品とは『スケソウダラ』。
スケソウダラは、日本海、太平洋、オホーツク海に広く分布する白身魚で、日本周辺の漁獲高は11,8トン(2017年度)。国内の水揚げ量は釧路港が日本一なんですよ。
鮮魚ではあまり出回りませんが、スケソウダラの食文化のある地域、例えば富山県朝日町では“タラ汁”が郷土料理として知られているそう。
スケソウダラのここが凄い
スケソウダラの身は、ほぼ速筋でできていて、その身に含まれるたんぱく質のことを、速筋たんぱく質と言うのだそう。
この速筋たんぱく質の何が凄いのかというと、例として、研究によく使われる牛乳からとったたんぱく質『カゼイン』と比べると、スケソウダラの『速筋たんぱく質』のほうが、ただ食べただけで、腓腹筋が増加することが研究で明らかに。
他のたんぱく質、例えば大豆や卵白といったものと比べても、同じ魚類のマグロと比べても『速筋たんぱく質』であるスケソウダラのほうが、著しく筋肉量も増加することも、研究で明らかになったのだそうです。
何か特別な運動をしなくても、食べるだけって凄いと思いませんか?
速筋が減少するとどうなる?
先ほどから、何度も出てきている“速筋”という言葉。
東京大学スポーツ先端科学研究拠点 教授/拠点長石井直方先生によると、筋繊維には、遅筋繊維と、速筋繊維があり、生まれながらにそれぞれの量が人により異なるものの、速筋繊維は加齢に伴い数が減り、筋繊維自体も細くなるのだそう。
すると身体にどんな影響が出てくるのかと言うと、すばやい動作が苦手になったり、なんでもないところで転倒してしまったり、冷え性が酷くなったりするのだそうです。
これって誰もが「年取ったから」「運動神経が悪いから」と年齢のせいなどにしてしまいがちなことですよね。
しかしながら、日頃から意識して速筋を増やすことが、いわゆる健康寿命を延ばすことになりますし、幼少期からしっかり食べておくことで、瞬発力に優れ、転倒しにくい身体づくりができることが、これらの話から伺えるのではないでしょうか。