Plastic Tree

Plastic Tree

このイベントのテーマ〈オルタナティヴ〉という言葉がもっとも似合うのはPlastic Treeかもしれない。シーンの王道ではないが、20年以上にわたって鮮烈な存在感を放ち続けている彼らのステージが始まると、先程までの喧騒が一瞬で塗り替えられた。

佐藤ケンケン(Dr)、長谷川正(B)、ナカヤマアキラ(G)がステージにゆっくりと現れる。最後に登場した有村竜太朗(Vo)がフロアに向かって両手を合わせ、軽くお辞儀をする。

そしてギターを抱えると『Thirteenth Friday』からスタート。浮遊感のあるサウンドに加えてステージ背面のスクリーンに映し出された幻想的な映像がPlastic Treeの世界へトリップさせてくれる。『メランコリック』のアグレッシヴなナカヤマのギターにフロアの観客は拳を掲げ、ワンマンさながらの雰囲気に。

「やあ、やあ。Plastic Treeです」と手を振る有村。「今日はCOMMUNEに呼ばれてやってきました、今日はお天気にも恵まれてイベント日和ですね」拍手をする観客。「というわけで短い時間ですがよろしくお願いします」と、深くお辞儀をする。

続いて始まった『くちづけ』の切ないサウンドがフロアに波紋のように広がっていく。アクティヴに動き回る長谷川と寡黙に佇むナカヤマが対象的なのも面白い。決して狭いとはいえないこのZeppTokyoという会場を〈箱庭〉化させてしまう。そういう魔法が使えるバンドなのだ。

「さあ皆さん、イベントですよ、踊るよ!」という有村の声から始まったダンサブルな『マイム』で観客はジャンプしフロアが揺れる。曲間でナカヤマに近づこうとした有村にギターのヘッドが当たるという一幕も。

『藍より青く』、『梟』と疾走感のあるサウンドが心地よい楽曲が続く。「COMMUNE! こっから一番遊べる時間だよ! おまえら愛しきバンギャルに捧げる歌」と『あバンギャルど』へ。激しさの中にどこか懐かしさのあるメロディに熱狂する観客。

『バリア』の後に「皆さんはイイCOMMUNEは出来てますか?」と長谷川による有村のソロやバンドの新譜の告知を挟み、有村の「ゆっくりと、さよならです」という言葉から『スロウ』が届けられ、この日のPlastic Treeのステージは幕を閉じた。

【セットリスト】
01. Thirteenth Friday
02. メランコリック
03. くちづけ
04. マイム
05. 藍より青く
06. 梟
07. あバンギャルど
08. バリア
09. スロウ

MUCC

MUCC・逹瑯(Vo)

トリをつとめるのはMUCCだ。SEの流れる中、SATOち(Dr)、YUKKE(B)、ミヤ、と続々とステージに現れ、最後に逹瑯(Vo)が登場。

一曲目の『ズタズタ』のイントロが始まるとフロアから驚きを含んだ歓声があがる。重々しいサウンドを響かせる楽器隊をバックに放心状態で立ち尽くすような逹瑯。痛切な叫びがフロアの空間を引き裂いていく。

続いてYUKKEのベースの音から次の曲が『大嫌い』であることを察した観客は暴れる〈準備〉を始め、「騒げんの? やべーもん見に来たんだろ? 見せてやるよ!」と煽る逹瑯。バンドとフロアの観客の熱気がぶつかり合う。

続けざまに『盲目であるが故の疎外感』、今年リリースされた『KILLEЯ』を挟み、『僕が本当の僕に耐え切れず造った本当の僕』、『友達(カレ)が死んだ日』など、かつて少年少女たちの心を鷲掴みにした(この日出演したDEZERTもおおいに影響を受けたであろう)曲を繰り出していく。

「COMMUNE Vol.2へようこそ。最近ライヴが多いので、一週間開いただけで久しぶりのような気がする、イベントだけど今日は持ち時間が長い!」と逹瑯のトークに拍手をする観客。

過去の楽曲中心のセットリストであることにも触れ、「この曲初めて聴いた人、そもそもMUCC自体を初めて見た人もいる? そういう人がいないとこのイベントの意味がない。今日MUCC初めて見た人……(フロアから上がる反応を確認しながら)あぁそう、結構少ない?」と笑いを誘った。

そして、少し間をおいて「えーとね、今日は予定されていたlynch.がキャンセルされました」と、すでに公式サイトなどで報告がなされているように、本来ならこの日のステージに立っていたはずの盟友・lynch.の不在についての話になった。

「俺からは何も言えないなって気がするんですけど」と前置きし、「ひとつだけお願いしたいことは、きっと文句のある人もいるでしょう。悲しい人もいるでしょう。色んな想いがあることだと思うんですけど、自分の想い、本音をぶつけるのも、待っていないと、ぶつける場所はありませんから。どんな形であれlynch.がちゃんと帰ってくるまで、その心の拳をしまったまま、待ってていただけたらと思います。ウチらも待ってますんで。……迷惑かけられちゃったしね」と彼ららしい、愛情のこもった言葉を送った。

しっとりと聴かせた『夜』に続いては、『およげ! たいやきくん』のカバー(02年の『葬ラ謳』に収録)も披露。

「こっから暴れる曲多いわ」という逹瑯の声から『ENDER ENDER』へ、『蘭鋳』で観客のテンションは爆発し、曲間で全員を座らせ「(トップバッターのDEZERT『「秘密」』では座らせてヘドバンすることを踏まえて)皆さん、座ったままヘドバンするのかな?」と逹瑯。そしてSATOちが「ヘドバンできそうなリズム」を叩くというやりとりも。

「そんな感じで、この界隈でキテるバンドが見れるイベント、それがCOMMUNEです。明日も一番気持ち悪いバンドでありたい」と宣言すると、観客からは歓声があがった。

そして「全員死刑!」という逹瑯の合図と恒例のジャンプを皮切りに、再びフロアは熱気でぐちゃぐちゃになり、「暴れられる? MUCCのライヴの激しさと楽しさを周りに伝えてあげてください!」と『MAD YACK』へ。

そして、この場にいる者も、いることができなかった者も力強く励ますような『TONIGHT』をラストに、この日のMUCCのステージは終了した。 〈ほら綺麗じゃない? 夜明けが今 また逢えるさ tonihgt tonihgt tonihgt〉という歌詞を心強く感じられるような気がした。

そしてアンコールの声にこたえて、イベントTシャツを身にまとったMUCCのメンバーが登場。

「アルバム出るんですって言ってこいって言われたもんだから……」と新譜の告知をし、「1曲やるんで、歌える人は大きい声で歌ってください」と始まったのはlynch.の『MIRRORS』、観客からは驚きの声があがる。

昨年開催されたlynch.とのツーマンツアー「MARCH ON THE DARKNESS」でもカバーされていた曲。そしてステージ下手にはマイクスタンドが1つ多く置かれていた。Plastic Treeの有村も飛び入り参加し、大いに盛り上がり1日目は終演となった。

【セットリスト】
01. ズタズタ
02. 大嫌い
03. 盲目であるが故の疎外感
04. KILLEЯ
05. 僕が本当の僕に耐え切れず造った本当の僕
06. 友達(カレ)が死んだ日
07. 夜
08. およげ!たいやきくん
09. ENDER ENDER
10. 蘭鋳
11. MAD YACK
12. TONIGHT
ENCORE 01. MIRRORS [with 有村竜太朗(Plastic Tree)]