本当のところ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」

ドラマ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』が密かに人気となっています。

毎週、楽しみにしている方も多いのでは。

同作は、マキヒロチさんによる同名漫画が原作

ドラマでは、お笑いトリオ「森三中」大島美幸さんと、「メイプル超合金」安藤なつさんがW主演を務めており、タイトルのように「吉祥寺だけが住みたい街なのか」という視点で、色んな街が紹介されています。

これまで「住みたい街ランク」で、度々1位をとってきた吉祥寺。

そんな吉祥寺で不動産仲介業を営む2人が、「吉祥寺以外の街ばかりを紹介する」といったユニークな設定です。

確かにこの「住みたい街ランキング」は、“住んでみたい”という街のランキング。

もちろん、吉祥寺は魅力的でステキな街なんですが、実際に住んでみたわけではないので、「ランキング1位だから」といって簡単に住んでしまっては……、想像と違った生活になることも。

特にご家族のある皆さんにとっては、実際の住みごこちの方が気になるかと思います。

では、一体、どんな街に住むと良いのか。

これは永遠のテーマですよね。

そこで、今年11月に刊行された「HOME’S総研」による初の書籍『本当に住んで幸せな街 ―全国「官能都市」ランキング』を開いてみました。

同書は、「HOME'S総研」の研究報告書「Sensuous City[官能都市]~身体で経験する都市;センシュアス・シティ・ランキング」と題されたレポートを一般向けに書き直したもの。

そもそも「HOME’S総研」は非営利で運営しているシンクタンクで、特定クライアントの委託でレポートを行っていないとのこと。

ますます信用できそうです。


同研究では、「他者との関係性」「五感で感じる身体性」を基準にした「官能」(センシュアス)をキーワードに、街を再評価する試みを行っています。

ただ、「住みたい街」という希望ありきのものではなく、様々な角度から分析しているのです。

実際に該当する街に住む人が調査対象となっており(全国の都道府県庁所在都市および政令指定都市に居住する20~64歳の男女1万8,300人)、その街での「経験」を数値化。

具体的に測定に使用した指標は8つ。

そして、各指標内には4つのアクティビティを設定しています。

身体性の指標は「食文化が豊か(アクティビティ例:庶民的な店でうまい料理や酒を楽しんだ)など」「街を感じる(街の風景をゆっくり眺めたなど)」「自然を感じる(木陰で心地よい風を感じたなど)」「歩ける(通りで遊ぶ子供たちの声を聞いたなど)」。

また、関係性の指標は「共同体に属している(買い物の途中で店の人や他の客との会話を楽しんだなど)」「匿名性がある(平日の昼間から外で酒を飲んだなど)」「ロマンスがある(素敵な異性に見とれたなど)」「機会がある(ためになるイベントやセミナー・市民講座に参加したなど)」などがあります。

ここで気になるのが、8指標のなかに「交通利便性」「買い物・病院などの生活利便性」「労働市場」「学区など子育て環境」「福祉」「治安」といった項目は入っていないところ。

これは、特定のライフスタイル・ライフステージの人にしか当てはまらないため、同調査では重要視されていないのです。