子どもを一流大学に行かせるには、塾や学校での学習がもっとも重要だと思っていませんか?

しかし文科省の教育改革により、知識詰込み型の学力は4年後には通用しなくなります。

2020年度からは記述式問題を取り入れた「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」という新しい選抜試験が導入されるのです。

この新テストで試されるのは、知識を活用する力。暗記中心の勉強をするだけでは、これからの時代に求められる賢さは身につかないわけです。

“受験のプロ"としてさまざまな教育メソッドを開発する松永暢史先生は、今後子どもに必要となる能力は「主体性」「協働性」「多様性」とし、家庭における日常の積み重ねが大切だと主張しています。

松永先生の著書『将来賢くなる子は「遊び方」がちがう』では、いま実践すべき子育て法が紹介されています。子どもの可能性を伸ばす家庭環境について、松永先生にお話を伺いました。

受験のプロが教える“賢い子に育つ家庭の共通点”

親として、子どもが良い習慣を身につけられる環境を作ってあげたいもの。

松永先生は、家庭教師として40年間で800軒以上の家庭を訪問。そして賢く育つ家庭には共通点があることに気づいたそうです。

本書では、リビングには本棚があること、地球儀や地図が置いてあることが挙げられています。

地球儀があることで、例えば本や新聞で知らない国の名前が出てきた時に、どこにある国かをすぐにチェックする習慣が身につくといいます。

さらに「ホンジュラスって中央アメリカにあるんだ。グアテマラの隣だからコーヒーもよく採れるのかな?」などと、子どもの探究心も広げていけるのです。

子ども部屋のベッドは学習机の真上に設定すべし

――子ども部屋作りでは、気をつけるポイントはあるでしょうか?

松永暢史先生(以下、松永)「子ども部屋はたいてい6畳以下だと思います。小学生のうちはともかく、中学生にもなれば、自分の部屋で起居することになります。

そこでよく集中して勉強できる子が伸びることになるので、その教育環境設定は大切です。子ども部屋に必要なものには、これらが挙げられます。

(1)作業や学習などをする、わりと大きな机

(2)睡眠するベッドか布団

(3)友だちが来たとき、最低3〜4人で話ができる空間

6畳以下ですべてを充たすには、毎日布団の上げ下ろしをする習慣がなければまず不可能です。

またベッドの家が多いですが、ベッドが目に入れば、そこに腰をかけてやがて横になってしまいます。居住の空間もありません。」

――では、全てをクリアするにはどうすればよいのでしょうか。

松永「たとえば、180cm×360cmの縦長の4畳の部屋の場合。まず部屋の一番奥に、ラックなどで床から70cmほどの高さのところに180cm×90cmの頑丈な合板を乗せて、それを机とします。

何らかの工夫で、その真上に床から140cmのところにもう一枚合板をしいて、手すりなどで補強し、そこがベッドになるように設定します。

こうすれば、ベッドは普段は目に入らず、梯などで這い上がらなければならなくなるので、寝る時以外は行かなくなります。机の両側は本棚か整理棚とし、机下は収納に使ってください。

大工さんに頼めば簡単ですが、自分たちでホームセンターに行って必要なものを用意して作れば、安価で済ませられます。これなら友だちが来ても十分な広さが確保され、勉強中もベッドが目に入りません。

部屋の構造や窓のある位置によって異なるので、これは一例として参考にしてみてください。」