©今泉久恵

4.「必ず伸びる!」などの力強い応援

保育園の先生や療育機関のスタッフが、「必ず伸びる!成長する!だから頑張って!」と励ましてくれることがあります。

確かに「伸びない」などと言われたら絶望しか残りません。でも、むやみやたらと励ますのもどうでしょうか。

「これまでもすごく頑張っているのに、これ以上どう努力すればいいのか……」とプレッシャーを感じてしまったり、また「障害児のママとして完璧でいなくてはならない。

この子の将来は私にかかっているんだから」と自分を追い込み、結果的に疲弊してしまうママもいます。

5.「障害も個性の一つよ」

「誰でも得手不得手があり、凹凸があるのが人間なんだから、障害じゃなくて個性の一つと考えればいいじゃないの」という言葉。

しかし、「激しいパニック」「強いこだわり」など、障害は個性で片付けられるほど生易しいものではありません。そんな障害を抱える子どもと、24時間365日一緒に生活するママはとても疲れています。

「私の大変さを理解してくれていないな」と感じてしまいます。

6.「神様が下さった天使なのよ」

「子どもはお母さんを選んで生まれてくるんだよ。きちんと育てられる人のところにやってくるんだよ。だから神様から与えられた天使なんだよ」という応援メッセージはどうでしょうか。

誰も好んで「障害のある子を産みたい」と思ってはいないでしょう。出生前診断で障害児だとわかると人工中絶する人や、障害児が生まれて家族の間に亀裂ができ、シングルになる人もいます。

言われた側は心の中で「綺麗ごとを言わないで。神様に選ばれたくなんかなかった」と反論しているかもしれません。

また、「こういう子たちは優しくて天使だ」「ピュアだよね」という言葉もかけがちです。

確かに障害特性はありますが、一人の人間です。

生まれ持った気質や育った家庭環境で、いろいろな人がいます。このように一括りにされると「そうは言うけどうちの子、頑固で大変なのに」などと思われたりします。

6.「病気治るといいね」

たとえば、自閉症は病気ではなく、生まれつきの脳機能の障害です。

ですから治癒することはなく、中学生になっても成人しても高齢者になっても、自閉症者のまま生きていくことになります。

病気というと「治療すれば治る」というニュアンスが含まれます。“療育”という言葉自体が“治療×教育”ですので、誤解が生じてしまうのも仕方がないのかもしれませんね。

でも、療育訓練により素行が改善することはあっても、根っこは変わりません。だから「病気」と言われると違和感があります。