テントは母の胎内?

テントから始まったクエスト

黒い鳥を追って行ったものの、見失ってしまったメイは、日が暮れてきた森で、仲間ともはぐれてしまいました。

しかし、「はぐれたら動くな」という、集団行動の原則を、思い出します。

そこで、テントを張り、仲間が探しに来てくれるのを、待つことにしました。

テントという、狭い空間に入ったメイは、心細さを紛らわすかのように、手で影絵遊びを始めます。

そのうちに、不思議な光が手から生まれ、驚くと同時に、美しさに魅了されます。

あたかも、メイが自分の中に持っていた、希望の光を見出す場面のようです。

一人用の狭いテントは、メイが生まれ変わるための、母の胎内の役割を、果たしたわけです。

死と再生の森、シャドウランド

鹿のユウとの出会い

メイと鹿のユウとの出会い ©Disney(撮影/MezzoMiki)

一人ぼっちの心細さを、忘れさせてくれる光に、メイが夢中になっていると、鹿のユウが現れ、メイに感謝します。

なぜなら、カゲドリによって、生命力を奪われたシャドウランドが、メイの力で蘇ったからだと言うのです。

次々に蘇った森の命が、喜びを表現して踊る場面では、力強い幹を持つ樹木が、男性ダンサー、たおやかな姿の草花が、女性ダンサーで表現されるのも、効果的な場面ですね。

これから育つ幼子は希望の象徴

息を吹き返したシャドウランドの姿は、冬という死から、春という再生へと、目覚めてゆく森の姿を、彷彿とさせます。

そこに転がり出てきた、生まれたての花の精は、優しく接するメイに、花をプレゼントします。

花の精の幼い姿は、メイの中から外に出ようとしている、本当の姿と重なります。

しかも、花の精からプレゼントされた花は、ツボミではなく、開いています!

メイが秘める、本来の自分が開花することを、想像させます。

花の精は、生まれたての赤ちゃん ©Disney(撮影/MezzoMiki)

シャドウランドはメイの心?

カゲドリの呪縛に囚われた、シャドウランドの抑圧された姿は、本当の姿を否定して生きてきた、メイ自身の窮屈な心を表しているように見えてきます。

人間は、失敗を恐れるあまり、臆病になります。

そして、挑戦から逃げ回ります。

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