テントは母の胎内?
テントから始まったクエスト
黒い鳥を追って行ったものの、見失ってしまったメイは、日が暮れてきた森で、仲間ともはぐれてしまいました。
しかし、「はぐれたら動くな」という、集団行動の原則を、思い出します。
そこで、テントを張り、仲間が探しに来てくれるのを、待つことにしました。
テントという、狭い空間に入ったメイは、心細さを紛らわすかのように、手で影絵遊びを始めます。
そのうちに、不思議な光が手から生まれ、驚くと同時に、美しさに魅了されます。
あたかも、メイが自分の中に持っていた、希望の光を見出す場面のようです。
一人用の狭いテントは、メイが生まれ変わるための、母の胎内の役割を、果たしたわけです。
死と再生の森、シャドウランド
鹿のユウとの出会い
一人ぼっちの心細さを、忘れさせてくれる光に、メイが夢中になっていると、鹿のユウが現れ、メイに感謝します。
なぜなら、カゲドリによって、生命力を奪われたシャドウランドが、メイの力で蘇ったからだと言うのです。
次々に蘇った森の命が、喜びを表現して踊る場面では、力強い幹を持つ樹木が、男性ダンサー、たおやかな姿の草花が、女性ダンサーで表現されるのも、効果的な場面ですね。
これから育つ幼子は希望の象徴
息を吹き返したシャドウランドの姿は、冬という死から、春という再生へと、目覚めてゆく森の姿を、彷彿とさせます。
そこに転がり出てきた、生まれたての花の精は、優しく接するメイに、花をプレゼントします。
花の精の幼い姿は、メイの中から外に出ようとしている、本当の姿と重なります。
しかも、花の精からプレゼントされた花は、ツボミではなく、開いています!
メイが秘める、本来の自分が開花することを、想像させます。
シャドウランドはメイの心?
カゲドリの呪縛に囚われた、シャドウランドの抑圧された姿は、本当の姿を否定して生きてきた、メイ自身の窮屈な心を表しているように見えてきます。
人間は、失敗を恐れるあまり、臆病になります。
そして、挑戦から逃げ回ります。