道理が逆転する対照的世界
弱いメイが、強いメイに勝つ?
光と影、日常と非日常、といった対照的な世界では、逆転が起きます。
鏡の国のアリスですね。
弱いメイに押さえつけられ、強いメイが出てこられなかったので、メイは自分の、困難を乗り越える力を、信じられませんでした。
メイ自身が、自分の本当の姿を、影の世界に閉じ込めていたと言えます。
カゲドリの正体はメイ自身?
踏み込んで言うならば、メイこそが、カゲドリとして、シャドウランドを生み出していたとも解釈できます。
生命力を奪われた森の姿は、引っ込み思案のメイそのものです。
自分を信じられず、できることも、できないと尻込みし、逃げ回って生きてきました。
自分に掛けた呪縛は、自分にしか解けません。
だからこそ、カゲドリを倒せるのは、メイしかいないのです。
自分の問題は、自分以外には、他の誰にも解決できません。
ユウはメイの心が生んだメッセンジャー?
鹿のユウは、シャドウランドから、メイに警告しにきてくれた、メッセンジャーの役割を果たしました。
今のままでは、本当のメイの姿が失われてしまう、と。
そして、何よりもメイ自身が、消極的なままでは嫌だ、変わりたい、という思いがあったからこそ、キャンプに志願したのです。
キャンプに参加したことにより、キャンプ指導者ユウと出会い、メッセージをもらいました。
シャドウランドでは、鹿のユウから再びメッセージをもらい、今までの自分と対決するチャンスを獲得したのです。
メイの体験は偶然ではなく、変わりたいという、メイ自身の切なる願いが、引き寄せたものに見えてきます。
あなたのクエストは?
誰にでもできる、クエスト
最後にメイは、ついにリーダーを引き受け、「私について来て! 」と仲間に、元気よく呼びかけます。
うつむきがちにやって来た冒頭とは、まるで別人であるかのように、伸び伸びとしています。
これこそが、メイの本当の姿だったのでしょうね。
なりたい自分は、自分の中にいるのです。
やるべきは、自分の中に閉じ込めてしまった、本当の自分を救い出すことだけです。
自由に鑑賞しよう!
今回、ご紹介した解釈は、あくまで、分析心理学の視点によるものです。
物語・作品に、正しい解釈はありません。(国語のテストは、正しい解釈を求めがちですけれどネ。)
詩人の三好達治も、作品の解釈は、鑑賞者の自由だと言っています。
皆さんは皆さん独自の、アウト・オブ・シャドウランドを楽しんでくださいね。
次は皆さんが、ご自身のクエストのために、シャドウランドを訪れる番かもしれませんよ。
失敗を恐れず、レッツ・クエスト!