シャドウランドで生まれ変わったメイ ©Disney(撮影/MezzoMiki)

道理が逆転する対照的世界

弱いメイが、強いメイに勝つ?

光と影、日常と非日常、といった対照的な世界では、逆転が起きます。

鏡の国のアリスですね。

弱いメイに押さえつけられ、強いメイが出てこられなかったので、メイは自分の、困難を乗り越える力を、信じられませんでした。

メイ自身が、自分の本当の姿を、影の世界に閉じ込めていたと言えます。

カゲドリの正体はメイ自身?

踏み込んで言うならば、メイこそが、カゲドリとして、シャドウランドを生み出していたとも解釈できます。

生命力を奪われた森の姿は、引っ込み思案のメイそのものです。

自分を信じられず、できることも、できないと尻込みし、逃げ回って生きてきました。

自分に掛けた呪縛は、自分にしか解けません。

だからこそ、カゲドリを倒せるのは、メイしかいないのです。

自分の問題は、自分以外には、他の誰にも解決できません。

ユウはメイの心が生んだメッセンジャー?

鹿のユウは、シャドウランドから、メイに警告しにきてくれた、メッセンジャーの役割を果たしました。

今のままでは、本当のメイの姿が失われてしまう、と。

そして、何よりもメイ自身が、消極的なままでは嫌だ、変わりたい、という思いがあったからこそ、キャンプに志願したのです。

キャンプに参加したことにより、キャンプ指導者ユウと出会い、メッセージをもらいました。

シャドウランドでは、鹿のユウから再びメッセージをもらい、今までの自分と対決するチャンスを獲得したのです。

メイの体験は偶然ではなく、変わりたいという、メイ自身の切なる願いが、引き寄せたものに見えてきます。

あなたのクエストは?

誰にでもできる、クエスト

最後にメイは、ついにリーダーを引き受け、「私について来て!  」と仲間に、元気よく呼びかけます。

うつむきがちにやって来た冒頭とは、まるで別人であるかのように、伸び伸びとしています。

これこそが、メイの本当の姿だったのでしょうね。

なりたい自分は、自分の中にいるのです。

やるべきは、自分の中に閉じ込めてしまった、本当の自分を救い出すことだけです。

自由に鑑賞しよう!

今回、ご紹介した解釈は、あくまで、分析心理学の視点によるものです。

物語・作品に、正しい解釈はありません。(国語のテストは、正しい解釈を求めがちですけれどネ。)

詩人の三好達治も、作品の解釈は、鑑賞者の自由だと言っています。

皆さんは皆さん独自の、アウト・オブ・シャドウランドを楽しんでくださいね。

次は皆さんが、ご自身のクエストのために、シャドウランドを訪れる番かもしれませんよ。

失敗を恐れず、レッツ・クエスト!

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