思い通りにいかない子育て。毎日「早く宿題しなさい」「いい加減にしなさい」と叱ってばかりのママになっていませんか?
「怒鳴ってはいけない」「頭ごなしに叱ってはダメ」と思っていても、余裕がなくてイライラして、つい声を荒らげてしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもの叱り方に悩むママに読んでほしいのが、お茶の水女子大の菅原ますみ教授の著書『その叱り方、問題です!』です。
子どもの個性に合わせた叱り方について書かれた一冊。今回は第1章「正しい叱り方ルール」の中から、効果的な叱り方のコツを紹介します。
正しく叱るのが親の責務
叱らない子育てをしたいと思っている方はいませんか?
しかし「必要なときにきちんと叱られることは子どもの権利」と話す菅原ますみ教授。正しく叱ることは、大人としての責務だといいます。
人間社会には、無数の決まりが存在しますよね。人はルールについて「まっさらの状態」で生まれてきて、誕生から数年でたくさん学ばなければいけません。このルールを教える作業が「しつけ」なのだそう。
しつけ開始の適齢期はというと、「やりたい」という気持ちに身体的な能力が伴ってくる1才半から2才頃とのこと。ただこの頃の子どもといえば、イヤイヤ期真っ盛り。その時期の子どもに物事の道理を教えるのは大変なこと。
しかし親は社会と子どもの間に立ち、ルールを教え、違反すればイエローカードやレッドカードを出さなければならないといいます。
いけないことはその場でやめさせるべし!
子どもが何かよくないことをしたときには、親は「それはいけないことよ」と教えなければなりません。
叱るときには、2つのコツがあるそうです。
(1)よくない行動をしたら、その瞬間にストップさせる
叩こうとする子は、手をおさえてでもやめさせます。ソファでジャンプしている子には、「おりなさい」と指示し、おりるまで見届けるのです。
離れたところから「やめなさい!」と言っているだけでは、効き目がありません。「ここでは叱る」と決めたならば、その場・その瞬間に必ずやめさせるべきだといいます。
(2)目を合わせて、短い言葉で理由を説明
次のステップとして、してはいけない理由を子どもに説明します。
時間がたってから説明をすると「ママ何を言っているんだろう」という表情をされるだけ。そのため、してはいけない理由は、やめさせた直後に言うのが大前提になるとのこと。
そして「理由」は、子どもと目線を合わせながら、短い言葉で説明するのがポイント。子どもの集中力を考えると、ダラダラと話すのはNGなのです。
ここで、ひとつの例をご紹介します。
みなさんはスーパーで「買って!」と子どもに駄々をこねられた経験はありませんか?
たとえば3才のハナちゃんがスーパーのお菓子売り場で、「これ買って~!」と、棚から勝手にお菓子を手にとったとします。
もしママと「きょうはお菓子を買わない」もしくは「勝手に棚から商品をとってはいけない」と約束をしているのであれば、これはルール違反!
そのときには、このような行動をとりましょう。
■ステップ1:ハナちゃんに「だめよ」と言い、ストップをかける
■ステップ2:「今日はおやつを買わないと約束したね。もうすぐ夕ごはんだから我慢しましょう。お菓子は棚に戻してね」と目線を合わせて言う
ここでハナちゃんがお菓子を戻せば「叱る」は終わりです。「ママのいうこと聞けたね。よかった!ママうれしい」とギューっと抱きしめてあげましょう。
こうすることで、ハナちゃんは「お菓子を勝手にとるよりも、ママにほめられた方がいい」と思い、「お菓子を勝手にとらない」という学習が強化されるそうです。