小児科専門医で「脳の学校」代表の加藤俊徳医師に、脳の弱い部分を刺激されると怒りの感情が生まれることや、脳の使い方のクセ(怒りグセ)は人によって傾向がある、というお話を伺いました。(記事『怒りっぽいのは「脳の使い方」のせい!?つい怒りたくなる理由、子育てのイライラを減らすコツ』)

では、自分の脳の弱い部分=苦手なことを知り、その部分を鍛えていけば、怒りにくい脳にすることができるのでは……?

引き続き、加藤医師に話をお聞きしました。

 

加藤俊徳 医師

脳の弱い部分を強化して、理性的に怒れる脳を育む

加藤先生によると、脳の特定の部分だけを使い、同じような言動や思考を繰り返す生活を続けることが、怒りを生みやすい脳の回路になるひとつの要因だとか。

「思考系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の脳番地をバランスよく、普段はあまり使わない部分を意識して使うことで、各番地をつなぐ新しい「枝」が育まれる。すると、ものごとを客観的に眺められるようになり、感情ではなく理性で怒れる脳になっていくといいます。

以下は、それぞれの脳番地を強化する方法の一例です。自分の苦手なところをどんどん鍛えたいですね。

●思考系(情報をもとにして考える、決断・実行する)
・「受け身」をやめる
(やらされている感があると脳は働かない。いろいろな「すべきこと」の内容を理解し、「こうしたらおもしろくなる」と切り替え、「やりたい!」「したい!」に変換する)

●伝達系(言いたいことを伝える)
・いろんな言葉を「反対言葉」で言ってみる(ポテトサラダ→ダラサトテポ など)

●理解系(目の前のものごとや情報を理解する)
・美術館に行く(シュールレアリズムの絵を見てタイトルを想像する、など)
・いろいろなものに興味や理解を示す

●運動系(体を動かす)
・歩いて頭をリセットする
(同じ脳の部分を使いすぎると、運動していなくても疲労を感じる。運動して、運動系以外の脳番地を休ませると復活する)

●聴覚系(耳で聞いたことを認識する。男性は苦手な傾向)
・聞いたことをそのまま正確に書き写す

●視覚系(目で見たものを認識、イメージをとらえる。女性は苦手な傾向)
・観た映画のシーンを思い出す
・映像を撮影して見返し、実際の場面を思い出す
・スケッチする
・買い物を利用して目を養う(イキのいい魚を見つける、など)
・ペットと会話する
・植物の手入れをする

●記憶系(情報を覚える、思い出す)
・時間通りに行動する(予定を先読みし、逆算して行動する)

ところで、実際に子育てをしていると、怒りたくなくても、怒るべき場面がでてきますよね。効果的な叱り方はあるのでしょうか。