男の子は言うより「見せる」。女の子は「やり方の手順を示す」
「男の子には長く、延々と語ってもだめです。お母さんたちは自己陶酔したかのように、演説を始めるんですが、聞いてませんから(笑)。聞くことができない男の子にはワンセンテンス、紙に書いてペタッと貼った方が言うより早いです。絵や図を描いたり、文字を書いてプラカード式に『コレコレ』、と見せた方が早い。
特に朝はぼーっとしていて、覚醒が低いから怒りやすいのですが、それをお母さんが追いかけながら難しい話をしても、子どもは避ける、逃げるというふうになる。朝は、覚醒させるのが重要です。声をかける、水を飲む、朝陽を浴びる、着替えさせる。それが全部終わった段階で、出かける手前に、目を見て諭す『ひとこと』が効きます。
女の子は、言葉で言っても、言葉でなめらかに言い返してきます。だから、手順を示した方がいいです。女の子の場合は、頭がよくて聞いてわかるんだけど、先読みをしにくいから、『次はこうしなさい』とインストラクションしてあげたほうがいい。
男の子は刹那的にしか生きてないから、先のことを言ってもだめなんです。でも女の子は聞ける耳を利用して、『じゃあこうしなさい』と。
男の子と女の子では2歳違います。小学校の入学時に7歳だとしたら、同じクラスに9歳の子と5歳の子がいる。脳でいうと4歳違う子が同じクラスにいるんです、5年生になっても6年生になっても。
親御さんはなかなか、そこまでとは知らないから、ついつい教育的に言ってしまうんですが」
子どもは怒られる内容より「場面」を記憶。叱る時間帯にも配慮したい
「明らかに叱らなければいけない場面で、叱り方、プロセスはとても大事です。
子どもが叱った内容を改善できるかといったら、できない場合が多いのですが、叱ったことだけは印象に残ります。子どもでも、その場面だけはよく覚えている。そして大きくなったときに、叱る場面を真似するんですね。
シンクロナイズドスイミングのコーチ、井村雅代さんの叱り方は、メダルをとれない現状と、メダルをとれる未来、そのギャップを埋めるために檄を飛ばしていました。選手にメダルをとらせるため。彼女が叱る理由はそこしかなくて。
叱る理由がきちんと子どもに伝わるように、いずれ理解できるように叱った方がいいでしょうね」
「ついつい親は、勢いにまかせて『今だ』と思って怒ってしまうけど、時間は続いていくということです。
今怒っても、朝出かけなければならない。帰ってきて怒ったら、その後宿題をやらないといけない。子どもも気持ちを立て直すのに1時間かかります。だから、叱る時間帯というものが絶対必要なんです。
朝怒ると、やる気のないまま学校に行き、午前中の授業が頭に入りにくくなる。叱るときは、そういったことも考えたいですね」