シリーズ第2作『トッカン VS勤労商工会』では、鏡・鈴宮チームに対抗する強大な敵が登場し、さらに徴収官の仕事が掘り下げられる。最新刊『トッカンthe 3rd おばけなんてないさ』では初登場から2年が経過、後輩職員も入ってきて少しだけ自立したぐー子が、霊感商法などのからんだ大口の事案に立ち向かうのである。もちろん、新米には新米の、成長したら成長しただけの苦労というものがある。ユーモア交じりの語り口の中に、ちょっとした苦味を交えることも作者は忘れてはいない。
――ちょっと仕事できるようになったと思ったら、奈落に突き落とされる。自信ができても、失敗のほうが大きくてマイナスになる。いつもいつもこうだ。わたしはちっとも成長できてない!
そんなぐー子の心の叫びに、深く頷きたくなる読者は多いはずだ。そうだ。理想の自分はずっと先にいて、いつまでも経っても追いつくことができない。『トッカン』は、そんな自分自身との追いかけっこを描いた、終わりのない物語なのである。ドラマで関心を持った方、ぜひ第一作からこの頼りないヒロインの成長を追いかけてみてください。
シリーズを既読の人のために書いておくと、『トッカンthe 3rd』ではぐー子たちが鏡雅愛の故郷である栃木を訪ねることになる(故郷愛の強い鏡が、宇都宮が餃子の消費量で浜松に負け、日本第二位になったことが原因で不機嫌になるのがおかしい)。これまでも作中で少しだけ触れられてきた、鏡の封印された過去の話も大きな柱の一つになっているのでお楽しみに。鏡のプライベートなんかもちょっと公開されるよ! なんと寝顔まで!
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