©2017 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

今やすっかり春の定番となった『劇場版 名探偵コナン』シリーズ。昨年は節目となる20作品目『純黒の悪夢』を発表し、興行収入60億円を超える大ヒットを記録しました。

2011年以降、右肩上がりで興行成績を伸ばし続けているこのシリーズ。小気味よい推理展開と迫力あるアクション、友情や恋愛要素、多数の魅力的なキャラクターなど多くの魅力を内包しており、年々ファンを増加させているのもうなずけます。

昨年の盛り上がりでさらにファン層を拡大したのか、21作目となる最新作『名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのらぶれたー)』も、前作をうわ回る初速の動員です。ファンの満足度も高いようです。

今回の作品は、シリーズ7作目の「迷宮の十字路」以来の服部平次と遠山和葉の2人が活躍する物語。昔から同シリーズを応援し続けている人には懐かしさも感じさせる一方で、新規のファンには新たな魅力を提供しています。

何より、娯楽映画としてとてもよく作り込まれているので、コナンシリーズを観たことのない人でもおおいに楽しめるようになっているのが素晴らしいですね。

原点回帰で、推理もラブコメも満載の最新作

コナンシリーズといえば、推理による事件解決が物語の王道。ここ数年の劇場版ではアクションの要素が強かったですが、今回はしっかり推理パートが練り込まれており、小気味よいテンポで展開していきます。

そして推理パートとともにコナンシリーズの大きな物語の柱となるのがラブコメ要素ですが、今回は映画では久しぶりに服部平次と遠山和葉がメインのストーリーだけあって恋愛パートも満載。しかも推理パートと恋愛パートが絡み合うように物語に違和感なく組み込まれていて、巧みな展開に唸らされます。

©2017 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

平次と和葉の恋愛話としては、劇場版『迷宮の十字路』で2人の幼い頃のエピソードが披露されてファンをときめかせましたが、今回の恋愛エピソードも平次の少年時代を発端としています。展開が似ているのは、制作サイドも意識してそうしたのでしょうね。

コナンシリーズの原点をしっかりと再確認している一方で、アクション描写もしっかりと盛り込んでいて、昔からのファンも、ここ数年の映画で魅力に気づいた人にもアピールできる内容になっています。