『NEW GAME!』の滝本ひふみ
コミュニケーションの取り方には、多様性があります。例え、口下手でも、文章ならば自分の気持ちをストレートに相手に伝えることができる人もいますし、ましてや、テクノロジーが進化した現代ならば、その表現方法も人それぞれです。
人気作『NEW GAME!』に登場する滝本ひふみは、主人公と同じ職場に務める先輩社員。人との対面で話すことをやや苦手としており、後輩に対しても伏し目がちかつ小声で短いセンテンスでの会話をすることしかできません。
しかしながら、彼女は車内のインスタントメッセンジャーならば、周囲とフランクかつ饒舌にコミュニケーションができるタイプなのです。対面では、小さな声でしか喋れなくとも本当は心根が優しく、面倒見も良い彼女の良心は、メッセ上で存分に発揮されます。
『NEW GAME!』は、ゲーム制作会社を舞台にした作品であり、登場人物も社会人ならば思わず共感をしてしまうというか、感情移入が容易なキャラクターが多いのですが、滝本ひふみという女性は、職場で上手く会話ができない人ならば絶対にシンパシーを感じてしまうと思います。
第二期の放映も決定している本作。放送開始前に是非とも今一度、ご覧になっていただければと思います。
『ふらら一人でできませんっ』の甘宮ふらら
最後に紹介するキャラクターは、漫画『ふらら一人でできませんっ』より、主人公の甘宮ふららです。この漫画は、双葉社の『コミックハイ!』と『漫画アクション』で連載をされていた作品で、物語は既に完結済み。全3巻の単行本が発売されています。
コミュニケーション能力が皆無と言っても過言ではない程、極度のコミュ障であるふららを幼馴染の女の娘があらゆる面でサポートし続ける……という形式で話が展開するギャグ漫画なのですが、兎にも角にも、ふららのできないっぷりと人見知りの度合いが凄まじく、その強烈なキャラクターが印象に残る作品です。
「コンビニでトイレを借りようとするも、店員に声を掛けることができず、結果的に少し漏らす」「電車に乗っただけで、緊張感から体調を崩してしまう」など、劇中ではふららの極端な性格によって巻き起こるトラブルと、それによって周囲が振り回される様が各話での笑いどころとして描かれます。
いうなれば、ふららは、"コミュ障"という概念を極限まで戯画化したキャラクターであり、そのキャラクター性と一般社会とのズレや齟齬が笑いを生み出すのです。常識と非常識の衝突によって笑いを生み出すドラマ性はテクニカルで、かなりトリッキーな作風の作品ではありますが、その実、とてもギャグ漫画らしいギャグ漫画となっています。
また、ふららには、基本的に台詞がなく、感情表現は全て擬音とアクションのみで描写されているのですが、それが本作のシュールな側面を更に強調しています。妙に中毒性のある作風であり、ふららの超内弁慶な性格や我儘ぶりに苦笑いしつつも、いつしか、彼女のキャラクターに引き込まれてしまう不思議な魅力を持つ"コミュ障ギャグ漫画"です。
ショートコミックという形式もあり、サクサク読み進められる点もオススメですよ!