破天荒な計画が奇跡の再デビューにつながった
─ファン同士を結婚させるほど仲のいいお二人ですが、結成当初から結束力が高かったのでしょうか?
atsuko「私たち、実は17年前に再デビューしたのですが、原点はストリートミュージシャンで、結成から数えると27年。驚きの長さですよね。2人の関係性が変わっていないとはいえ、途中ではいろいろありました。
私、歌うのは好きですけど、人前に立つのは緊張するし、胃が痛くなるし、やめようかなと思ったことも1回や2回じゃないし。でも、そういうのを全部超えてきた先が今で、解散しようって言葉に出したこともあったんですけど、KATSUさんが引き止めてくれたことで、今ここにいられるんです。」
─KATSUさんからみたatsukoさんの魅力とは?
KATSU「路上時代、実はatsukoさんって個性がないと思っていたんです。ところがファルセットとかビブラートが多い曲を歌うと、通りすがりの人たちの足がピタッと止まるんです。最初は2〜3人しかいなかったお客さんがダッと増えて、そこでお客さんによって気づかされたんです。
これがatsukoさんの魅力なんだって。それでファルセットとかビブラートを多用する曲をたくさん作るようになり、今、みなさんがご存知の通りの歌声が出来上がりました。でも、僕が思うにはまだまだ抑えてるって思ってます。本気のビブラートはもっとすごいんですよ!」
atsuko「確かに当時の自分に声をかけるなら『君、ムリだね』って言ってますよ(笑)。私から見たKATSUさんの魅力は何かなぁ…」
KATSU「いっぱいあって出ないか?(笑)」
atsuko「わ〜、いっぱいある〜。いっぱいあって出てこない〜!」
KATSU「棒読み(笑)」
atsuko 「いや、これは冗談抜きに、私って正論を言うタイプなんですよ。論理的で地に足がついたタイプ。KATSUさんは真逆のタイプなんですね。地に足がついてなくて。」
KATSU「悪口?いいけど(笑)」
atsuko「悪口じゃなくて、それがいいなって。だって2人とも地に足がついていたら、夢は見れないと思うんです。私は冒険をしたくないタイプなんです。でも、片方が夢みがちで空想が広がるロマンチストだから、お互いのいいところをとって活動できてるなって思うんです。」
─KATSUさんの武勇伝がたくさんありそうですね?
atsuko「はい。一番凄かったのは、お金がなかったデビュー前のインディーズ時代の話。アルバイトでなんとか生計を立てていた時にKATSUさんがいきなり車を買ってきたんですよ。『これから路上ライブをするにあたり、機材を運ぶ車が必要だ』って。で、買ったのが5万円の車。」
KATSU「ふふ、あったね。」
atsuko「当然、ボロボロで修理代の方が高くかかって苦労したんですけど、車があったおかげで大きなスピーカーをのせて路上ライブができたんです。そのスピーカーも、私はコンパクトなのでいいって言ったのに、想像の3倍の大きさのをKATSUさんが買ってきたんです。運ぶの3人がかりでやっとのサイズ。」
KATSU「へへ、無茶苦茶だったね。小さなライブハウスくらいの音量で、アルタ前でやっちゃってました(笑)」
atsuko「最初は、すっごく責めたんですけど、でも、結果的には大正解だったんです。想定の3倍サイズのスピーカーで、新宿アルタ前で爆音で演奏を流したおかげで、信号の向こう側にいたキングレコードのプロデュサーの耳に届いて、私たちのところに来て声をかけてくれたんですから!」
─もしや、それが再デビューのきっかけに?
atsuko「そう!なんか、漫画みたいな展開でしょ?KATSUさんはそういう冒険心があって、それが魅力なんです。でも、現実的に冒険心だけじゃ人生は難しいじゃないですか。だから、結束力も強くなっていって、今の2人はいいバランスでやれてるんじゃないかなって思ってます。」