思いきって飛び込んだ(りぴーと7話)
『りぴーと』では、無印に比べて、原作漫画にはないアニメオリジナルの描写が、その比重を増しているのですが、何れも原作のキャラクター性や作劇のニュアンスを丁寧に掬い取り、その温かい作品世界に寄り添っている為、全くといっていいほど違和感がありません。
この「思いきって飛び込んだ」は、アニメオリジナルの醍醐味がタップリと詰まった掌編。東京で暮らしていた経験を持つ蛍の思い出を挟みつつ、皆と一緒に「新たな一歩」を踏み出す彼女の姿を描き出します。
ここで、蛍の心理にグッと踏み込む作劇の妙が何とも心憎く、そして、彼女の「新たな一歩」が第一期のオープニングアニメーションへと繋がる仕掛けは、シリーズを追い掛けてきたファンにとって、とても感動的です。
秘密基地や夏休みの描写など、本作ならではの郷愁に満ちた描写の数々も本篇の見どころです。午前中に友達と遊んで、一旦、家に帰ってからお昼を食べて再集合なんて、確かに、子どもの頃はよくやったよな~なんて、幼き日の記憶にふと思いを馳せてしまう……そんな幼少期への憧憬を抱いてしまう名エピソードです。
みんなでお月見をした(りぴーと9話)
最後にオススメをしたいのが、『りぴーと』第9話の「みんなでお月見をした」。『のんのんびより』のトリックスター、夏海のメイン回で、この娘が全編に渡って騒動を巻き起こす回です。
シリーズを通した全エピソードの中でも、夏海の元気一杯なお馬鹿さんっぷり……そのキャラクター性の魅力が存分に堪能できる話数となっています。
皆が楽しみにしていた月見団子を誤って全部食べてしまい、ひかげと二人で必至に誤魔化そうとする姿は、ただただシンプルに笑えますし、彼女のコメディアンヌとしてのポテンシャルの高さに改めて驚かされます。佐倉綾音さんのコメディ演技も、賑やかで楽しい限り。
一方で、皆にお洒落をさせられた後の恥じらい描写など、いつもの夏海とは違う"ギャップ萌え"を堪能する回でもあります。まさに、越谷夏海というキャラクターの魅力がギュッと詰まったエピソードと言えるのではないかな、と。
『りぴーと』のコメディ回といえばこの9話か、イメージBGの多用でいつも以上にポップなエッセンスが感じられる第8話の「給食当番をした」が突出した出来だと思いますね。
この記事の中で挙げた他にも、それぞれのエピソードにチャームポイントがある『のんのんびより』シリーズ。新作アニメにまつわる続報を心待ちにしつつ、のんびりのんのんと、その作品世界に浸りましょう。