「私、知らない間にチップチューナーだった!」

――ヒゲドライバー先生は、どんな位置取りなんでしょう?

ヒゲドライバー「ゲームでは聴こえないような音も、パソコンで合わせて楽曲にしています。ピコピコ音は、要素として入れている、という感じですね。

だから、「チップチューンをやってます」って言うと厳密には違ってしまうので、「ピコピコ系ミュージシャン」と自称しているんです」

――では、ヒゲドライバー先生が制作された楽曲も聴いていただきましょう。 島ゆいかさんと飯田來麗さんのユニット、「スピカの夜」に提供された楽曲『SPICA』です。

スピカの夜/SPICA

山村「すごくイイですね! ワタシ、VOCALOIDの曲で、こういうタイプの曲があって、それもすごく好きで…。なんていう曲だったかな…。あ、「sasakure.UK」さんの『*ハロー、プラネット。』っていう曲です」

ヒゲドライバー「おお、sasakure.UKさんは個人的にも親しくさせていただいています。すごく有名な曲ですよね」

――では、こちらも聴いてみましょう。

sasakure.UK/*ハロー、プラネット。

ヒゲドライバー&山村「懐かしい!」

山村「私、本当にこの曲が大好きなんです。何度も何度も聴いていました」

ヒゲドライバー「この曲、僕も大好きですよ! 音の使い方もとてもいいですよね。『星のカービィ』や、『MOTHER』といった任天堂ゲームの雰囲気をよく出していて」

山村「あー、『MOTHER』の音楽が大好きなんです! 私、知らない間に結構チップチューナーだったんですかね?(笑)」

「たくさんの人にピコピコサウンドを聴いてほしいんです」

――どうやらそのようですね(笑)。sasakure.UKさんはどのように制作されているんでしょう?

ヒゲドライバー「僕と同じように、パソコンのソフトシンセが中心ですね。いわゆるDTMです。有名アーティストの「YMCK」さんが開発された「Magical 8bit Plug」を使っている人が多いと思います」

――ちょうど、話題に出たので、「YMCK」の楽曲も聴いていただきましょう。名曲がたくさんあるんですが、その中でも『左折して右折して』です。

YMCK/左折して右折して

山村「これまでの曲も刺さったけど、この曲、すっごく好きです…! それに、なんだか聴いたこともある気がします」

ヒゲドライバー「YMCKさんの曲は、TVのBGMでもすごく使われているんですよ。だから一度は聴いたことがあると思います。アニメのエンディングテーマもされているし、声優さんに楽曲を提供されたこともありますね。

アニソンやアイドルソングに、ピコピコサウンドを少し取り入れる、ということはとても多いんですよ」

――たしかに、一部にこういう音が入っている楽曲はありますよね。チップチューンがメインではない方の曲も聴いていただきましょうか。スコットランドの有名EDMアーティスト「Calvin Harris」も、ピコピコサウンドをフィーチャリングした曲を発表しています。

Calvin Harris/Bounce ft. Kelis

ヒゲドライバー「このピコピコした音って、すごい目立つんです。ギミックとしては使いやすいから、特にダンスミュージックではいろんな人が使うんです」

山村「なるほど…。音にすごく存在感があるんですね!」

ヒゲドライバー「でも、ピコピコ音だけで音楽を作るという人がなかなかいないんですよね。作っていくと、やっぱりいろんな音を足したくなるんです。一曲ぐらい作ってみる、という人はいても、継続的に純粋なチップチューンを作っていく人は限られてしまう」

山村「制限があるからこそ、出来るところもあるんですよね?」

ヒゲドライバー「そうなんですが、そこがネックになっているんですよ。一般の方にとっては、「へぇ~、すごいね」で終わっちゃう。

どんどんコアな方向に向かうのもいいけれど、僕はなるべく広い人に聴いて欲しいんです。今回の『Pico Pico: Impossible 2』は、そういう意味もあるイベントなんですよ。ピコピコ系も、そうでない人も、いろいろなジャンルの方が出演するので」