今回のテーマは、“ピコピコサウンド”! 皆さんはピコピコサウンドと聞いて、どんな音を思い浮かべますか?
レトロゲーマーの方は元祖ファミコンの音楽、現役ゲーマーの方も、レトロテイストのゲームBGMで聞き覚えがあるかもしれません。そんなピコピコサウンドが、実は一つの音楽ジャンルになっているんです。
というわけで今回は、そんなピコピコサウンドを得意とする“ピコピコ系ミュージシャン”ヒゲドライバーさんがプロデュースするイベント『Pico Pico: Impossible 2』に出演される声優アーティスト・山村響さんに、ピコピコサウンドの魅力をプレゼンします。
山村さんの青春を彩ったゲームや、ヒゲドライバーさんのピコピコサウンドへの熱い思いなど、濃厚なインタビューになりました。では、いってみましょう!
「チップチューン? 『徹子の部屋』みたいなもの…?」
――今回は、山村さんに、ピコピコ系音楽の魅力を知っていただきたいという企画なんです。ジャンル的には「チップチューン」と言われたりするんですが…。山村さん、チップチューンという言葉はご存知ですか?
山村「初めて聞きました。えーっと、チップチューンっていうイベント名ですか? それとも、コーナー名? 『徹子の部屋』みたいな…」
ヒゲドライバー「おお…」
――完全にまっさらな状態なんですね(笑)。
山村「すみません! 勉強不足で!」
ヒゲドライバー「いやいや、メジャーなジャンルじゃないんですよ」
――了解しました。まずは山村さんにもわかっていただけるようなものを…。ご存知『ようこそジャパリパークへ』のチップチューンカバーを、Sound Cloudという音楽SNSにアップしている方がいらっしゃるんです。
どうぶつビスケッツ×PPP/ようこそジャパリパークへ(Tobokegao GAMEBOY Cover)
山村「あ、これ、カービィの音!」
――おおっ、『星のカービィ』お好きなんですか?
山村「大好きなんですっ! ほら、スマホケースもカービィなんですよ。私、レトロゲームのBGMってすごく好きなんです。それに、動画サイトで、”ゲームアレンジ”っていうのを、作業用BGMとしてよく見てました」
――ヒゲドライバー先生、こういう既存曲のカバーも結構多いですよね。
ヒゲドライバー「そうですね、一時期はチップチューンカバーがすごく流行って、アルバムもリリースされたりしたんですよ」
山村「私、カービィが特に好きなんです。小学生の時に、『星のカービィ 夢の泉の物語』をやっていて…」
ヒゲドライバー「あ、それは僕もすごく好きな作品ですね」
山村「それが私の青春なんですよ。音楽がすごく良くて、BGMを録音して聴いたりして…。あとは、ポケモンシリーズも大好きだったし、あとは、『カエルのために鐘は鳴る』ですね!」
ヒゲドライバー「おお~、名作だ!」
山村「音楽がめっちゃいいんですよね! 今でも、ゲームのプレイ動画は動画サイトでよく見ます」
ヒゲドライバー「うーん、意外だった…(笑)。全く知らないと思ってましたよ」
ヒゲドライバー先生、チップチューンって何ですか?
――チップチューンという言葉は、かなり広い使われ方をしますよね。いろいろな定義があります。
ヒゲドライバー「そうですね、厳密にチップチューンを定義すると、ファミコンやゲームボーイなどで使われている音源チップだけを使った楽曲を、チップチューンと呼ぶべき、という方もいらっしゃいます。だから、厳密に言うと、僕の音楽は純粋なチップチューンじゃないんで」
山村「ヒゲドライバーさんはどうやって作曲してらっしゃるんですか?」
ヒゲドライバー「僕は、パソコンのソフトでこういうピコピコ音を出しているんです。さらに、そこにいろいろと他の音を足したりしてます。ピコピコ音楽=チップチューンと広く定義したら、僕の音楽もチップチューンということになると思います」
山村「この曲はカービィの音だけど、全然違う曲だから、どうやって音を出しているんだろう?って思っていたんです。一つ一つ、音を抜き出すのは難しいだろうし…。そうやって作っているんですね」
――パソコンのソフトシンセを使う場合もありますし、ゲームボーイやファミコン自体を楽器にする方もいますね。
ヒゲドライバー「そうですね。ゲーム機を改造したりする方もいらっしゃいます。ゲームボーイには、海外の方が開発した非公式の作曲ソフトがあって、それを使う方も多いですね」
――では、そういうタイプの方の曲も聴いていただきましょう。「Saitone」さんという方で、メイン機材はゲームボーイです。でも、楽曲はいわゆるゲームの曲とは全然違う、ゴリゴリのテクノというか、電子音楽なんです。
Saitone/Overlapping Spiral
山村「あ、本当だ、全然違う!」
ヒゲドライバー「こういったタイプの、ゲーム機を中心に使って、いわゆるゲーム音楽には聴こえない楽曲を作る方もいるんですよ」