『美人が婚活してみたら』(小学館クリエイティブ)を上梓した漫画家のとあるアラ子さん。
現在、無料マンガアプリ『Vコミ』で連載中です。アラ子さんの実在する友人で美人な「タカコ」が婚活に奮闘するこの漫画。
タカコさんの言動に思わず笑ってしまったり、応援したくなったりと、ネット上で話題を呼んでいます。
今回は、作者のアラ子さんに、タカコさんを通して感じた恋活・婚活について聞きました。
「美人じゃないけど」と謙遜しながら共感する人が多い
——『美人が婚活してみたら』は、美人でなくても共感できるポイントが多くありますね。
とあるアラ子(以下、と):そうですね。やっぱりみなさん「美人じゃないけど……」と謙遜しながら「共感できる」と言ってくださいます。
謙遜させてしまってごめんなさいと思いつつも、共感していただけるのは大変うれしいですね。
——他に、読者の方から印象的な感想は寄せられましたか?
と:いろいろありますが、「結婚は『好かれる力』より『好きになる力』」というセリフが出てくるシーンがあるのですが、その回が更新された日から感想をツイートしてくださる方がすごく増えて、「結婚はしたいけど好きな人ができない」という悩みを持った方がすごく多いのだなと感じました。
——男性からはどんな反応がありましたか?
と:男性からは「女性はこういうこと考えているんだ〜」という素直な感想をいただくことが多いですね。
あとは率直に「ムカつく!」とか(笑)。
S木さんという男性キャラクターにタカコがひどい仕打ちをするシーンがあるのですが、そこで拒絶反応を起こす人が多いらしくて……。S木さんに感情移入して読まれる方が多いようです。
——S木さんは、不器用ながらも婚活に一生懸命な男性ですよね。S木さんに感情移入するということは、そのような体験をしたことがあるということでしょうか?
と:S木さんは自分に自信がない人なので、そこに感情移入する男性が多いのかもしれません。
でも、タカコさんがS木さんにしたことは、男性のプライドを傷付ける行為だと思うので、男性からそういう反応が出るのは仕方ないことだろうなとは思います。
——タカコさんはこの漫画を読んで何か言っていますか?
と:「共感する」って言っていますね。
——えっ! 自分のことなのに?(笑)
と:ストーリーはタカコさんから聞いた話をベースに、タカコさん以外の登場人物は個人を特定されないよう一部変更して描いてはいるのですが、タカコさんの発言やキャラクターはかなりそのままなんです。
それなのに「このセリフ、共感する」とかって本人は言ってますね。
いや、あなたが言ったことだけど? って思いますが、彼女にとって漫画と自分は別物だという認識があって、客観的に楽しんでいるようです。
——描く際に一番力を入れたエピソードはありますか?
と:エピソードというか、セックスにまつわる描写はしっかり描きたいと思っています。
婚活を語る上で性に関して避けて通れないんだなと思うので。そこで関係性がうまくいかなくなったり……。
やっぱり男と女のことなので……。婚活サイトや結婚相談所を利用したことがない身からすると、そういう出会いってセックスとはかけ離れているものというイメージがあったのですが、一度出会ってしまったらやっぱり普通の恋愛と変わらなくて、当たり前に男女の駆け引きのようなものがあるんですよね。
ただでさえ難しい男女の駆け引きが、婚活サイトや結婚相談所などを介して知り合っているとなると、さらにまた難しくなるところがあるのかなと感じます。