青い鳥~わくらば~』村上たかし著

『星守る犬』で知られる村上たかし氏が、事故によって引き裂かれる家族の辛さ、そこから見えてくる人間愛の素晴らしさを描いた感動作。

幼い頃に両親を亡くした由紀は、家族旅行中に交通事故に遭い、息子が亡くなり、夫は意識が戻らないまま入院生活に入ってしまう。一方、義父もまた、息子の事故をきっかけに、過去の辛い出来事を思い出す…。

アンダーカレント』豊田徹也著

今年、村上春樹の短編集『一人称単数』で装画を担当したことで知られる、豊田徹也氏の初期代表作。

実家の銭湯を継いだ女性・かなえは、旅先で蒸発した夫のことが気に掛かりながら、日常を過ごしていく。銭湯を手伝いに来る男と友人の知り合いだという探偵、街の人々との関係が、心情の動きに忠実に自然なタッチで紡がれていきます。

コスモス』光用千春著

母が家を出ていったことから、父親と二人で暮らすことになった小学5年生の少女・花の日常。

このうえなくシンプルなタッチの絵で描かれる、父親との関係、親戚との交流、クラスでの立ち位置、そして定期的に会う母親との一日…。ドラマチックなことが起こるわけではなく、少女の心情を中心に描いていく好編です。

さよならタマちゃん』武田一義著

現在、長編戦争漫画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』が、注目を集めている武田一義氏。これは武田氏が、自身のがん闘病記を描いた自伝的作品です。

がん病棟に入院する人々の交流、入院患者たちの家族との関係が、柔らかなタッチのどこかコミカルな絵で描かれていきます。適度な笑いに彩られた世界観は、人生良いことも悪いこともあるという、至極自然なことをわからせてくれます。

「ぴあ中部版」映画担当を経て上京、その後はテレビ情報誌、不動産雑誌・広告などの編集・ライターを務める。著書に『年収350万円でも家が買える』(2014年・彩図社刊)。また、映画監督としては、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭などで注目され、2002年「異形ノ恋」(出演・西川方啓、木下ほうか、寺田農)でデビュー。