コロナ禍で自粛生活が続き、家族の大切さを痛感した方は多いのではないでしょうか?
そこで、おもに家族の素晴らしさを綴った作品をセレクトしました。ミステリアスなものからコミカルなものまで、その作風は多種多様。
なかには、かなり泣ける作品もあるので、涙活にも活用できるかもしれません。
『まにまに道草』大町テラス著
娘が大学進学のため一人暮らしを始め、18年ぶりに夫婦だけの生活になったハルコ。急に暇になってしまったものの、彼女はまだ48歳。昔の仲間に誘われて仕事をしてみるも技術革新の変化に戸惑い…。田舎で一人暮らしをしている、どうやら生き甲斐を見つけているようだ…。
ハルコは、精神的にも子離れをして、自分のための日常を取り戻すことができるのでしょうか?
『式の前日』穂積著
『さよならソルシエ』『僕のジョバンニ』で知られる、穂積氏の初期短編集。
結婚式前日の姉と弟の様子を描いた表題作をはじめ、他人が立ち入ることができない濃密な一対一の関係を、叙情的に描いた5編が並んでいます。
基本的にはミステリアスな作劇で、最後には少し泣ける短編集です。
『ねぇ、ママ』池辺葵著
母親をモチーフにした短編集。一人で息子を育てる母親の日常を綴った「きらきらと雨」など、7編を収録している。やわらかいタッチの絵は牧歌的であるが、愛情と表裏一体にある肉親の非情も描いており、心にズシンとくる作品ばかり。
それでいて前向きなところもあり、一筋縄ではくくれない作品集になっています。
『さよならもいわずに』上野顕太郎著
劇画タッチのギャグ漫画で知られる上野顕太郎氏が、自身の体験を綴った一作。突然亡くなった妻との思い出、そして亡くなってからの日常。
作者の心情、自問自答、起こった出来事の詳細が、限りなくリアルなタッチで描かれます。誰にでも必ず起こる、家族が亡くなるという喪失感が、心に刺さる一作。