早ければ秋にはコロナが落ち着くのでは? 今年の春はそんなふうに楽観視していた。
しかし、現実は厳しかった。
秋どころか、日本のみなさんが休暇を取りやすい年末年始も海外渡航は難しそうだ。
そこで、今回から数回に渡ってソウルの注目エリアの動画や写真を使ったWebツアーを行うことにする。
最初に歩くエリアはソウル旧市街(漢江の北側)の中心部、鍾路3街(チョンノサムガ)。
冬のソウルの空気や食べ物の匂いまでお届けできないのが残念だが、再訪韓への期待を盛り上げてもらいたい。
鍾路3街とは?
鍾路3街は日本の旅行者にもよく知られている仁寺洞(インサドン)の東隣りに位置している。
最寄り駅は鍾路3街駅。ソウル駅や東大門駅からは地下鉄で約5分、明洞の最寄り駅である乙支路入口駅からは約10分だ。
日本時代は明洞や忠武路辺りが日本人街で、その北側に位置する鍾路エリアは朝鮮人の街だった。
日本で言えば東京の浅草、大阪の天王寺のようなところと言えばイメージしやすいだろうか?
70年代からこっちは高齢者の憩いの場だった。懐は豊かとは言えないが、暇だけはたっぷりある高齢者がタプコル公園で時間をつぶしたり、周辺の大衆食堂で安酒をあおったりするような街だ。
遊興街としても長い歴史がある。日本時代にできた朝鮮式分譲住宅街(益善洞)の一部は後に料亭となり、韓国がまだ豊かとは言えなかった60~70年代は妓生観光のメッカだった。
当時はあちこちの料亭で宴会が行われていたため、仕事を求めてバンドマンが集まっていた。
そのため、楽園商街という住商複合ビルに大規模な楽器店街ができた。かつてのような規模ではないが、今でも楽器店街は健在である。
地下鉄5号線鍾路3街駅の3~6番出口のある通りには、ソウル最大の屋台街がある。10年くらい前は、周辺のゲイバーに通う男子がメインの客だったが、ここ数年はそれ以外の若い男女が増え、コロナ禍に見舞われるまでは大変な賑わいだった。
そして、その南側の路地には目立たないがドヤ街がある。
現在の鍾路3街がどんな街か、ひとことで表すのはとても難しい。
4、5年前から益善洞の韓屋(朝鮮式の平屋住宅)がおしゃれなカフェやレストランに変わり始め、今では全国から若者が押し寄せる注目スポットとなった。
これによって鍾路3街は、おじいちゃん憩いの場、巨大屋台街、スタイリッシュなカフェレストラン街、新宿2丁目的な繁華街、ドヤ街が共存するエキサイティングな街となっている。