消費者金融で借金し自前のサーバーを構築
'08年から'09年にかけて会員数・PVともに爆発的に伸び、現在も勢いが衰えていない。今やユーザーは世界各国に広がっている。ピクシブ株式会社調査。
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立ち上げからしばらくたち、ユーザー同士の交流に活気が生まれてきた頃、片桐さんはサービスの成功を信じて勝負に出る。
「最初は成功する可能性はゼロだと思ってました。数日で会員も増えたけれど、あくまで一過性の流行だと思ったんです。サービスが継続的に人気を得ていくと確信したのは“ピクシブたん”という擬人化のキャラクターがユーザーの間で自主的に生まれた時。単なる画像のアップローダーではなく、独自のコミュニティが形成されていくのを目の当たりにした時です。ただ、当時は社員数も5~6人で、自分の給料もままならないほどお金がなかった。サーバー代も払えなかったので、消費者金融で200万円くらい借りました。それで資金を調達して、秋葉原で部品を買い、ベニヤ板を使った手作りのサーバーを構築した。こういうサービスを成功させるには、運やタイミングが重要だと思うんです。だから、pixivにユーザーが集まったのも人気になるウェブサービスのバトンを渡されたようなもので、そういうときに、たった200~300万の資金がないだけでそれを逃してしまうのは、もったいないと思ったんですね」
その後もpixivのサービス規模は順調に拡大を続けるが、’09年に収益化を達成するまで、ビジネスとしての目処は立たなかったという。
「もともとの動機として、人気になるウェブサービスを作りたいというのが大きかったんです。そうなる自信はあったけれど、ビジネスとして収益を上げられるかどうかは別の話で。資金提供を受ける方法もあったけれど、そうすると利益を上げることを優先してカルチャーの純度が薄くなってしまう危惧もあった。そもそもお金を稼ぐことが苦手だったんです」