しかし、サービス開始から5年経った現在、pixivはイラストや漫画のクリエイター自身にとって、自らの作品を収入に結びつけるためのプラットフォームになりつつある。

「pixivの人気のユーザーは、ほとんどが出版社やゲーム会社から仕事を請け負ったり、彼らの作品自体が人気になっている。今後はpixiv上でもそういったやりとりがスムーズに行えるような仕組みを導入できないか、模索しているところです」

さらに、この先は海外展開も考えているという。

「シリコンバレーなど海外に拠点においてグローバル化しようとするインターネットサービスの会社は多いと思います。でも僕らは、東京にオフィスを置いたまま世界に出ていこうと思う。pixivは日本的なカルチャーをバックグラウンドに持ったウェブサービスだと思います。たとえば任天堂のゲーム機が世界中で受け入れられたように、僕らもそういうところを武器にして、勝負していこうと思っていますね」

一番嬉しいのは、リアクションしてもらえること

同世代や上の世代のインターネット業界の起業家や経営者とも交流が深い片桐さん。自分たちの世代感については、どう捉えているのだろうか。

「僕ら特有の世代感はすごく感じますね。たとえば、上の世代の三木谷浩史さんのような人たちは、たとえインターネットがなくても成功する有能なビジネスマンだと思います。堀江さんやグリーの田中さん、ミクシィの笠原さんのような世代の方々もそう。しかし僕らは、インターネットが無かったら社会生活すらままならなかったんです(笑)。それに、会社を作っても、頑張って稼いで六本木で派手に遊ぶようなバブル的な価値観は一切ない。そこはハッキリと違いますね。ブランド品にも高級車にも興味ない。だってネットのほうが楽しいでしょ(笑)。自分の好きな仲間と、ユーザーに喜んでもらえるサービスを作っていたい。やっぱり、僕らにとってもユーザーにとっても、一番嬉しいのは、自分の作ったものをいろんな人が見てくれて、リアクションしてもらえることなんですね。それが僕らの世代にとって、いちばん重要なことなんだと思います」

ピクシブ株式会社のエントランスには、オフィスを訪れた“絵師”(イラストレーター)たちによる沢山の訪問記念イラストが、まるで絵馬のように飾られている。このことも、利益よりもまずはユーザーに愛されるサービスを目指してきたピクシブ株式会社の社風、そして片桐さんの語るインターネット普及以降に育った世代の価値観を象徴している。

(雑誌「ウレぴあ」秋号より  柴 那典 = 取材・文 押尾健太郎 = 撮影)

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かたぎり・たかのり●1982年、静岡県浜松市生まれ。2005年にWeb制作会社を設立し、代表取締役に就任。システムなどの受託開発を行いながら、自社のウェブサービスを展開。2007年リリースしたイラストSNS『pixiv(ピクシブ)」は現在、ユーザー数500万人、月間33億PVに達している。海外展開やイベント等、イラスト・漫画文化の発展を推進するべく様々な取り組みを行っている。

 

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