実写吹替に初挑戦!アクションの難しさ
−実写の声優は初めてということで、演技されてみていかがでしたか。
まだそんなに慣れていない中での実写の吹替ということで、コツも色々と指導してもらいながらだったんですけれど、自分の幼少期から吹替で映画を見ていた感覚もあるので、それを頼りにしながら、自分が思っている倍くらいのエネルギーと抑揚をつけないとマッチしないんだなというのをすごく感じながらやりました。
−息遣いも上手かったです。
息遣いとかはあまり意識せずに自然に、やっぱりビジュアルはもう演技されていて完成されているので、それに合わせていくという形で、逆に呼吸とかが聞こえない方が不自然だなというのはやりながら感じていたところだったので、話している中で息を吸ったり吐いたりするのは自然と出てきた感じはありました。
シーンごとにかなり綿密に指導してくださったんですけれど、一回通して私はこれぐらいだろうと思ったら、「もうちょっと深い感情」とか言われて、なんだろうそれと思って、一回自分の声を聞くと、なるほど全然足りてないというのが納得できちゃうという繰り返しで。
ちょっと抑揚を増してみようとか、吸う量を多くしてみようそうすると吐く量が増えるからとか、バランスをいろいろさじ加減でやりながらでした。
−特に難しかったシーンはありますか。
一番はアクションがあるところの中で話しているのが、こっちはアクションをしないでマイクの前で表現しなきゃいけないので、活動量が多い所の声が難しいなとは感じましたね。
ソファーに座ってとつとつと喋っているのは表現しやすいんだけれど、動きながら何かしながら、ちょっとお遊びを入れながらとかだと難しいと思って。
心の中では暴れまくってマイクの前では立ってなきゃいけないっていうのがバランスが難しかったですね。
−今回エンドソング「コール・ミー・クルエラ」も歌われていますが、どういった思いを込めましたか。
自分の思いというより、本編の吹替もそうだし、エンドソングもそうだし、本国でもあるものなので、そこから逸脱しないようにというのはありつつ。
日本語にするとまた全然印象が変わっちゃうんですよ。特に歌というのは、英語だったら滑らかに本当に音楽に調和するところが、日本語だとすごく目立っちゃったりとか。
そことのバランスはかなり考えて、抑揚つけて。抑揚といっても音程として決まっている中でそれを出すっていうのはこれまたいい勉強になりました。
なので素の自分ではないですよね。やっぱりキャラクターを引きずって、ちょっと俯瞰で見ている自分が歌っている、みたいな。私がというよりかは、そのキャラクターの一部が、なのか、客観性が、なのかという感じで歌っていました。
“若い”クルエラを演じる思い
−演じる際に過去作品のクルエラは意識されましたか。
若いときの方が一生懸命じゃないですか。何かに対して必死だし、完成されたクルエラ像っていうのは既にあるんだけど、それはそれとして、ここからまた20年ぐらいたったらああいう風になるんだろうなというのは、自分の人生においてもやっぱり20年前と今とでは全然違うし、20年前だったら真面目すぎて、それはそうじゃないんですって必死になっちゃうところがあるんだけど、何十年も経つとまあそれでいっかみたいなのができて、ああいうキャラクターができていて。
あとクルエラは自己演出がすごく上手な人ってことだと思うんですけど、そこに至るまでのキャラクター、今回はその年代なので、そこのギャップがあってもいいのかなと思いながら。
だから正解があるからそこに近づけようという意識はあるわけじゃなかったです。
−柴咲さんの若い頃はどうでしたか。
やりたいこととできることのギャップもまだある中で、やっぱりそういう目指す思いや力って必要じゃないですか。
そういうアンバランスさってあったんだなと思いつつ、やっぱり自分が好きなものに対しては没頭できるんだけれども、そうじゃない付いてくるものとかってあると思うんですよね。
もしかしたらこういう取材もそうかもしれないけれど、お芝居をやっている人がそれを語らなきゃいけないのは難しいことでもあるなと。自己評価もしながらそれを共有しなきゃいけないし、拡散していかなきゃいけないしみたいな。
だからその中で全然関係ないバラエティに出ますとかってなると、いよいよ何やるんだっけみたいなときがあったり、ちょっと本職というかやりたいことと離れていっちゃう、けれど見てもらわなきゃっていう葛藤があったり、そういう居心地の悪さが顔に現れるみたいなのは若い時は結構あったかなと。
−そこから変えてくれたものは何ですか。
結局巡り巡っているし、みんなで作っていて、例えば映画制作とかドラマの制作でも、いろいろな人が携わってないと出来得ないことだなというのは昔よりは知ってくるし、自分自身が作る側に回ると大変だと思うし、お金ってこうやって集めるのかとか、全然欲しいところに人が来ないとか、そっちの側の裏方の苦労がわかると理解がものすごくできることとか。
あとは想像力というか、20年いろんな人と付き合いしてきて見えてくるものがあったりというのも作用していると思います。