社会人にとっての本番「プレゼンテーション」を成功させる具体的なメソッドを、4ステップに分けて解説。今回はプレゼンテーションの起点となる「コンセプトメイキング」編。これがブレてしまうと、いくら資料をうまく作り、本番で雄弁を披露しても、プレゼンは成功しない。相手の心をしっかり捉えるために、第一に考えるべきことを知っておこう。「重要思考」を提唱するビジネススクール教授の三谷宏治さんに聞いた。

「失敗」への怖れが本番力を低下させている

ビジネスパーソンの「本番」として、まず思い浮かぶのが、会社の重役や取引先への「プレゼンテーション」。プレッシャーがかかり、否が応にも緊張感が高まるプレゼンテーションをどう乗り越えていくかで、その後のキャリアは大きく変わってくる。

ここからは、事前準備として「コンセプトメイキング」、「資料作り」、本番の立ち回り方として「本番の演出」、「伝わる話し方」の計4ステップに分けて、各分野のスペシャリストがプレゼンテーションを成功させるためのポイントを解説していく。

例えば、人と話すのが好きで、本番の“トーク” に自信がある人は、「資料作り」のポイントをチェックすることで、さらに伝わりやすいプレゼンテーションが可能になるだろう。“MC” としての資質とともに、コンセプトメイクや資料作りにも長けた“裏方”としての能力を高めておけば、仕事の幅はいっそう広がるはずだ。

他方で、コンセプトメイクが得意で、人の心を動かすシンプルなメッセージを作ることはできても、いざ本番になると、緊張してボソボソと話すだけになってしまう……という人もいるだろう。緊張せずに「伝わる話し方」をするポイントを押さえて、表舞台で堂々と話すことができるようになれば、まさに“本番に強い”人材として、会社で重用されることは間違いない。

プレゼンテーションが上手い人を見ると、つい「人前に立ち、メッセージを伝える“才能”がある」と思ってしまいがちだ。しかし、それは生まれ持った能力ではなく、「知識」と「努力」で培われたものであると、識者たちは口を揃える。今回紹介する4ステップすべてのポイントにおいて、自然と最適な方法を選ぶことができるようになれば、誰でも、大一番でしっかりと力を発揮することができるはず。まずは本記事の「コンセプトメイキング編」から、そのポイントをチェックしていこう。