妻が相続できずにトラブルが起きた事例

参考に、妻が夫の財産をすべて相続できないことでトラブルが起きた事例を高橋さんに教えていただきました。

高橋「共働き夫婦で一緒に貯金をし、ご主人様名義でマンションを現金一括購入したケースがあります。この夫婦はマンション購入後に不仲となり離婚をしましたが、財産分与の話し合いの最中、ご主人様が交通事故で急死したのです。

この場合、離婚をしているので、奥様は法定相続人ではなくなっているため、マンションを相続できません。

ご主人様の法定相続人に事情を話して贈与してもらおうと思っても、奥様は相続人ではないから強くは言えないですし、不仲による離婚なので相談しづらいため、トラブルに発展しました。

このケースでいえることは、マンション購入時に忙しくても名義をどのようにするかは、よく検討すべきだったということです。たかがマンションの名義ですが、されどマンションの名義ということを実感しました」

遺言作成をサポートしてくれるサービスも

万が一、夫に先立たれてしまうことを考えれば、夫に遺言書を作成してもらうというのが先決といえそうです。

一般的には、司法書士や金融機関が遺言書作成をサポートしてくれるサービスを提供しているので、それを利用するのも良いでしょう。

司法書士の遺言書作成サポートサービス

遺言そのものをサポートしてくれるサービスです。高橋さんのアドバイスにあったように、遺留分侵害しない程度の相続分を両親に相続させる内容にする場合や、付言事項に遺留分侵害請求をしないでほしい旨を書く場合などには、司法書士に相談するほうがいいでしょう。

金融機関の遺言書作成サポートサービスを利用する

先日は、三井住友信託銀行が、住宅ローンと遺言を組み合わせたサービス「ハウジングウィル」を提供し始めました。

これは、住宅ローンの借り入れをした人限定のサービスで、自筆証書遺言を無料で預かってくれるものです。そして万が一相続が発生した場合に、家庭裁判所へ遺言書の検認の申立てを行ってくれます。

例えば、夫が「自宅を妻に相続する」と遺言書に記載することで、もし夫が亡くなった際には、妻が単独で家を相続することができるのです。まさに今回のお悩みに合ったサービスです。

また、他の金融機関でも、遺言書作成サポートサービスは実施されています。例えば、三菱UFJ銀行の「遺言信託[遺心伝心]」や、みずほ信託銀行の「遺言執行引受予諾業務」や「遺言書管理信託」などです。

万が一のときに備えて、これらの方法も覚えておきたいですね。

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夫の財産を将来、確実に相続したいと考えるなら、家など大きな買い物をしたときに、将来の相続のことを少し考えておくことで、あとあとの後悔がなくなることでしょう。

【取材協力】司法書士 高橋徹さん

司法書士 高橋徹さん

相続手続き無料相談センター代表。相続手続き無料相談センターは年間の無料相談件数500件、相続専門の行政書士法人。グループには司法書士もおり戸籍集めから名義変更、相続した不動産売却までフルサポートしている。

【参考】
三井住友信託銀行株式会社「ハウジングウィル」

ライター。美容、健康、グルメなど、今ドキ女性が気になる情報をお届けしています。素朴な疑問を調査したり、専門家に聞いたりして、分かりやすく読者に伝えるのがモットー。