ジム・ジャームッシュ監督の『コーヒー&シガレッツ』もスモーカーにはおなじみの一作。喫茶店を舞台にした十話のオムニバスで、いずれも登場人物がタイトルどおり、コーヒーとタバコを味わいながら会話をかわす、それだけの話だが、どの逸話にもユーモラスで味がある。気持ちの良い時間のパートナーとしてタバコが存在していることがよくわかる。

 

 

 

 

同じジャームッシュ作品では、『ナイト・オン・ザ・プラネット』に登場したウィノナ・ライダー扮する女性タクシー運転手が印象深い喫煙者だった。車を運転しながらガムを噛みつつタバコを吸う、きゃしゃな姿に似合わない豪快なキャラクター。いつも吸っている銘柄にちょっと飽きたと思ったら、真似してみるのも面白いかもしれない。

 

 

 

映画はタバコの吸い方のみならず、持ち方も教えてくれるものだが、ジョン・ウー監督のアクション『ブロークン・アロー』での、ジョン・トラボルタのタバコの持ち方は独特だった。人差し指と中指の間の根本でタバコを挟み、指を広げる姿が、実にサマになっている。ちなみにトラボルタは同じウー監督の『フェイス/オフ』では逆に指先でつまんで持っていたが、これはこれでやはり絵になる。

 

 

 

最後に、アクションの定番ということで、『ダイ・ハード』を取り上げよう。シリーズ最新作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(公開中)ではもはや禁煙していたが、ブルース・ウィリス扮する“世界一運の悪いヤツ”ことジョン・マクレーン刑事は、死闘を乗り切る度に疲れを癒すかのようにタバコをくわえていた。激務の狭間に吸う一服ほど旨いものはない。ある意味、大人の正しい吸い方と言えるかもしれない。

映画周りのフリーライター。情報誌「ぴあ」の編集を経て、1993年よりフリーに。「SCREEN」「DVD&ブルーレイでーた」「シネマスクエア」等の雑誌媒体や劇場パンフレットに寄稿。映画サイト「シネマトゥデイ」では新作の短評を担当。アクションとホラーをこよなく愛する。