働きながら子育てをしているママの悩みの多くは、やはり育児と仕事の両立が大変なこと。職場の理解不足や保育所の入所待ちなどの問題が起きています。

一方で、そうしたママたちを助けるべく、企業はどんどん子育てママを助ける制度を充実させています。コロナ禍もあり、さらに充実してきているようですよ。

さらに、政府は2021年12月から子育て支援に積極的な中小企業への補助金制度「くるみん助成金」を新設。今後、ますます子育てに優しい中小企業が増えると考えられます。

そこで今回は、ハウスコム、デクセリアルズ、アートネイチャーの3社の、ママを助ける画期的な制度をご紹介します。

ハウスコム:社員の声から生まれた「つわり休暇」も

まずは、東京都港区のハウスコム株式会社。全国219カ所にリアル拠点を有し、不動産DXによりライフスタイルデザインを追求する事業を行っています。従業員数は約1200人です。

2021年1月8日に、子育てサポート企業として、厚生労働大臣より「くるみん認定」を受けました。ハウスコムでは、2015年から「子育て支援を中心とした職場環境づくりに関する社内プロジェクト」を立ち上げ、育児中の従業員が利用しやすいさまざまな制度を導入しています。

例えば、次のような制度導入や取り組みを行っています。

会社の制度・取り組み

・限定正社員制度
転勤なし、週休2日6時間勤務、週休3日8時間勤務等

・つわり休暇、つわり休職
妊娠悪阻等で勤務がむずかしい場合に、必要な時間、日数の休暇を付与

・保育手当
育児休業後、短時間勤務や残業免除で勤務する場合、子が3歳に達するまで10,000円支給

・育児休業早期復職支援
子が1歳6か月に達するまでに復職した場合、子が2歳に達した年度末まで保育手当に30,000円を加算(託児サービス利用の有無を問わない)

・生産性に着目した歩合給
生産性(時間当たりの売上)に応じて歩率が変動する歩合給制度のため、例え短時間勤務であっても効率的に勤務することで歩合給をためることが可能

・時間単位の年次有給休暇
半日単位はもちろんのこと、時間単位で年次有給休暇の取得が可能

・育児休業者等への社内報送付
会社の状況を共有するため、育児休業者に対しても社内報を送付

・子育て相談窓口
出産や育児に関わる相談窓口を設置

社員が構成する社員会でも、次のような制度があるそうです。

社員会の制度

・出産祝金
子の出産時に30,000円支給(両親とも社員の場合はそれぞれに支給)

・自己啓発支援制度
育児休業中であっても所定の講座を受講修了した場合、その費用の50%(最大20,000円)を支給

・不妊治療費の補助
医師による不妊治療(人工授精、対外受精等)を受けた場合、1年に1回、20,000円を支給(最大5年間)

つわり休暇や保育手当、早期復職支援など、子育てママにとって嬉しい制度が充実していますね。ハウスコムの担当者に、各種制度の特徴をうかがいました。

「時短勤務や子の看護休暇などの法定内のものも合わせて、当社のワーキングマザーに関して嬉しい制度については、形骸化やアピールのためだけのものではなく、すべての項目に関して、きちんと取得・活用されていることが、他社と比べても良い点だと考えております。

実際、5年前に比べて育児休業する社員は約2~3倍に増えており、男性でも1か月程度または半年~1年程度の育児休業をとる者が複数でてきています。また、シングルマザーや3人以上の子どもを持つ社員も活躍中です」

つわり休暇について

そして気になるのは、「つわり休暇」の存在。これは妊娠中の女性社員にとって画期的といえそう。どんな休暇制度なのでしょうか?

「つわり休暇は、つわりの程度は人それぞれであり、つわりで勤務が難しいときは無理せず休める制度を、という従業員の声から策定されました。これまでも、つわりを理由とした休業は認められていましたが、勤怠上では『欠勤』扱いとなっていたため、心理的に休みにくくなっている従業員も存在する可能性がありました。これを解消し、より休みを申請・取得しやすくすることを目的としています。

2020年9月1日の就業規則改定で導入された新しい制度のため、まだ実際の利用者はごくわずかな人数にとどまっていますが、社内での周知活動も改めて実施し、ワーキングマザー、未来のワーキングマザーの身体的・心理的な不安を和らげるひとつの手段として浸透させていきます」