30秒で描いた絵に100万円の値をつけた理由とは?
山口 揚平(著)
Amazonで購入
レストランのウエイターに絵を描くよう頼まれた40歳のピカソは、ナプキンにさらさらと筆を走らせ、「お代は100万円です」と言ってのけた。そのときの会話はこうだ。
「わずか30秒で描いた絵が100万円ですか!?」
「いいえ、この絵は30秒で描かれたものではありません。40年と30秒かけて描いたものです」
ピカソはジョークめかして、「30秒で描かれた絵」という目に見える結果だけを評価するのではなく、その価値を生むことになった才能や長年の努力、培ってきた信用に目を向けるよう、ウエイターを諭したのではないか――本書の中で、山口さんはそう分析し、「お金とは、長い期間を費やして創造された価値に対する結果である」と述べている。
『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』は、前述したようなピカソの振る舞いから、お金の本質とは何か、どう捉え、どう付き合っていくべきなのかを、多方面から浮き彫りにする1冊だ。ここでは、著者の山口さんに「お金を生み出す“価値”を創造する方法」と「幸せに生きるために、お金をどう使うべきか」の2点に焦点を絞って話を伺った。
価値を創造するためには、他人に尽くすべし
お金を得るためには、何らかの“価値”を差し出す必要がある。ピカソの場合は絵だが、誰しも彼のように類まれな才能を持っているわけではない。平凡な人間が、それでも価値を生み出すためには、どうすればいいのだろうか。山口さんが勧めるのは「他人にコミットし、貢献すること」だ。
「上司、クライアント、友人……誰でもいいので、具体的に相手を決め、徹底的に尽くしましょう。相手が上司であれば、出世・成功できるように貢献する。最初のうちは、お金という目に見える結果にはつながらないかもしれません。しかし、少しずつ信用が生まれ、社会的評価にもつながっていきます」
そうして他人に尽くすうちに、自分の“使命(ミッション)”に気づくことができるのだとか。それを突き詰めることが価値につながり、お金へと変わるのだという。
「一言に使命と言っても、人によってさまざま。場合によっては、明確な言葉では表せないものかもしれません。しかし、その曖昧さも含めて、『自分のミッションは、これだ』と感知する瞬間が必ずやってきます。ポイントは「使命を探そう!」と躍起にならないこと。使命とは、私欲を削って他人に尽くし、ニュートラルな存在として振る舞うことで、自然と“授かる”ことができるものなのです。まずは目の前の仕事を、粛々とこなしていきましょう」
とは言え、人間は欲を持つ生き物。意識だけで欲望をコントロールするのは、なかなか難しい。そこで重要になるのが、お金の使い方だ。