四谷「わかば」

麻布十番からは東京メトロ南北線で四谷駅まで移動。乗車時間はわずか15分ほど。四谷駅を背にして新宿通りを少し歩き、横の小道に入った場所に1953年創業の「わかば」があります。住宅街の中にひっそりと佇んでいますが、やはりここにもたい焼きを待つ人の行列。先ほどとは違って家族連れや、近所の人が多いのもここの特徴。
 

店の中では二人の職人さんがたくさんの数の「一本焼きの型」を次々と焼き上げています。釣り上げられた(?)たい焼きは手前のベルトコンベアーを通っておばあちゃんの待つレジ横へ。見ているだけでも飽きない光景です。さて、こちらのたい焼きは一匹140円。20人ほど並んでいましたが10分ほどの待ち時間で買うことが出来ました。

 

これまでの中で一番ずっしりした印象。中にもたっぷりのあんこが詰まっています。

食べてみると、これまでの2店舗とは違い塩気が強く甘さが控えめのあんこを使用。かなりのボリュームの割にはいくつでも食べられそうな甘さです。皮もこれまでの薄い皮というよりかは、少しフワッとした感触。もちろん、天然物特有のカリッとした芳ばしさ、焼き加減はさすがは名店。絶妙な仕上がりです。

 

というわけで、「東京3大たい焼き」巡りは無事終了。さすがはたいやき御三家と呼ばれる老舗だけあって、三者三様。それぞれに特徴があり、こんなにも違うのかと驚くほどです。お持ち帰りした3店のたい焼きを並べればその差は一目瞭然。
 

「柳屋」のたい焼き
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「浪花家総本店」のたい焼き
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「わかば」のたい焼き
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「柳屋」「浪花家総本店」「わかば」の順。重量の比較では順番に97g、75g、115gとなっています。たい焼きの型も微妙に違うため、そろぞれに個性的な顔をしています。並べてみると色もこんなにも違うものだったんですね。


さて、3つとも食べ比べたところで気になるのが「結局、どれが一番旨かったのか?」ということ。しかし、こればかりは人の好みで別れるのでなんとも決め難いところ。ただし、今回の食べ歩きで一つ言えるのは「3つがそれぞれに違う味」だったという点。正直、たい焼きなんてどこで食べてもそう変わらないと思っていましたが、これは大きな間違い。生地の食感やあんこの味付けなど、それぞれに特徴があり、たい焼きの奥深さに驚かされました。

また、今回たい焼き巡りをして感じたのが「人形町」「麻布十番」「四谷」といった全く違う街も一緒に楽しむことができたということ。普段行き慣れない街を散策するのはそれだけで楽しいもので、たい焼きと同じく東京も様々な顔をもった魅力ある街だということを再認識させてくれます。

これからは外を歩くのが気持ちのいい季節。「東京3大たい焼きツアー」と題して、水筒にほうじ茶でも入れて食べ歩くなんてのも「粋」な休日の過ごし方ではないでしょうか。

 

デザイン、アート、インテリア関連の記事を中心に執筆をするフリーライター。インドア系ライフスタイルメディア「roomie」でも執筆。国内外の人に教えたくなるような小躍りする情報を紹介予定。