「途中入社で僕の部署に配置され後輩となった女性は、実家が県外でひとり暮らしをしていると聞いていました。
仕事は真面目にするけど愛想がいいとは言えず、仕事が終わるとさっと席を立って帰るので正直『とっつきにくいな』と感じていたのですが、印象が変わったのはある日の昼休み。
弁当を洗おうと思って給湯室に行くと彼女がいて、流し台を使っていたので『お疲れさま』と声をかけて待っていました。
『お待たせしました』と言われて僕が流し台に立つと、水滴はきれいに拭かれてスポンジ類は丁寧に並べられ、食器を拭く用のふきんも新しいものに替わっていて。
流し台はいつも水が散っていて濡れたふきんが当たり前で、僕自身たまに嫌な気持ちがしていたけど『自分がしなくても』と思い、こんなふうにきちんとしたことはありません。
『次に使う人がいるからやってくれたのだ』と思うと、僕も含めてみんなやらないのにそれを普通にできる彼女はすごいですよね。
マナーの良さとは違うかもしれないけど、職場であっても気遣いは大事だと改めて思いました。それ以来、彼女のことは一目置いています」(32歳/営業)
自宅ではない会社の給湯室で、シンクの状態までいちいち気にかける人はどれくらいいるのでしょうか。
汚れていても放置するのが当たり前だと、あえて自分がきれいにする気は起こらないですよね。
自分が待っているのをわかっていたとしても、次に使う人のことを考えて場を整えることができる女性は、感謝の気持ちが湧くもの。
こんな一瞬でも、人間性は現れます。