「冬休みは台湾に行くの」
「へえ、いいよね、近いし安いし」
「そう、サクッと2泊だけ。こんど一緒に行こうよ」
先日、終電間際の電車の中でこんな話をしている二十代女性二人組を見かけた。近くて安くてご飯が美味しい。やっぱりこれが台湾旅行の魅力だ。
彼女たちは台北で何を食べるんだろう? ついおせっかいで「この店が美味しいですよ」と言いたくなる気持ちを抑える。冬休みに台北で食べるなら? 今回はとっておきの台北冬の肉グルメをこっそり教えよう。
台鐵便當(タイティエビェンダン)
台湾でも台鐵便當と呼ばれる鉄道便當がある。日本のように各地の名産が詰まっているわけではないが、素朴でどことなく昭和の雰囲気が漂う。
これが台湾をのんびりと一周する鉄道によく似合っているのだ。
駅弁は改札をくぐらなくても、台北駅の構内で買うことができるので、列車に乗る予定がなくても旅の雰囲気だけは味わえる。
豚の角煮便當や鶏肉便當は栄養のバランスも考えてあり、メインの肉料理のほかに野菜炒めや煮玉子も添えてある。
機内食の出ないLCCを利用する人なら帰りの飛行機用にひとつ買って行けば、旅の最後に台湾の味覚を楽しむことができる。
台鐵便當(タイティエビェンダン)
台北市北平西路3號(台北駅1階) TEL:02-2361-9309
8:30~20:00 無休
黒白切(ヘイバイチエ)1
台湾人にとってとても身近でありながら、旅行者にはまだあまり知られていない「黒白切(ヘイバイチエ)」。豚モツのスライスのことだ。
台湾人は豚肉を上手に料理することで知られているが、その腕が際立つのは煮込みでも揚げ物でもなく、新鮮なモツをさっと湯がいただけの黒白切だ。
台北西部の下町・艋舺(万華)、龍山寺から歩いてすぐのところにある『龍城號』はそんな黒白切と絶品の漢方スープが味わえるこぎれいな食堂。
従業員の女性たちがみな気さくなので、アットホームな雰囲気がある。
厳選された新鮮な豚モツを丁寧に洗って湯がく。これに甘辛い醤油ダレとたっぷりの刻みショウガ。臭みはいっさいなく、柔らかな食感のモツを楽しめる。
ビールもあるので歩き疲れた旅人が一休みするのにぴったりの食堂だ。
龍城號(ロンチェンハオ)
台北市廣州街94號 TEL:02-2336-7668
10:30~19:30 月曜休
黒白切(ヘイバイチエ)2
台湾人に愛されている肉料理「黒白切」は、いったいどこで食べることができるのか?
日本人は豚モツと聞くと「ビールのつまみに」「仕事帰りに一杯…」と思ってしまうが、意外にも台湾の人たちは豚モツを朝ごはんに食べている。
台湾の朝ごはんにはいろいろあるが、豚モツが食べたいならお粥や米粉湯(ビーフンのスープ)を扱う食堂や屋台が狙い目だ。
台北駅の裏手に60年以上前から店を構える『大稲埕米粉湯』は、朝から昼過ぎにかけて絶品の米粉湯と黒白切を提供する。すでに80歳を超えるも元気に笑顔を振りまくおじいちゃんが屋台の主。
ビーフンを茹でる大鍋のスープにつかった豚モツを客の好みにあわせてすくい上げ、スライスしていく。
豚の頬肉や小腸といった定番はもちろん、歯茎なんていう珍しい部位にもお目にかかることができる。あっさりとした米粉湯と豚モツは台湾人の朝の活力なのだ。
大稲埕米粉湯(ダーダオチェンミーフェンタン)
台北市重慶路一段26巷15號 TEL:非公表
8:30~14:00頃 日曜休