45万円あればブラック企業から抜け出せる!
そこで、ファイナンシャル・プランナー目線で、「ブラック企業から抜け出すコスト」を考えてみたいと思います。
もちろん会社にお金を払って辞めさせてもらうわけではありません。どんなに会社に文句を言われようと脅されようと、会社を辞めるのにお金を払う必要はありません。問題はそのあとです。
ブラック気味に労務管理を行っている会社であれば、会社を辞めるとき「自己都合」で辞めることになります。会社と喧嘩をしてもクビにされることはあまりなく辞表を出す体裁にすることが多いはずです。個人としても解雇されたという履歴が残るのがイヤで自己都合で辞めたことにする人がたくさんいます。
問題はこの「自己都合」で辞めたケースです。失業給付(正確には雇用保険の求職者給付という)がすぐもらえないのです。会社の倒産や会社から解雇を言い渡された場合には、ハローワークに駆け込めば7日間の待機期間を置いてすぐ給付が始まります。しかし、自己都合で辞めた場合は緊急性が低いとみなされ、3カ月待たされてしまうのです。
逆に言えば、この3カ月をやりくりできれば、「いつでもブラック企業を辞められる」ということです。仮に毎月15万円で暮らしているのであれば、その3カ月分、つまり45万円あればいいのです。仕事を辞めたらかなり切り詰めるので、私は12万円くらいで暮らせるという人なら36万円でいいかもしれません。この間は税金も引かれますし、社会保険料は免除されますので、文字通り「生活費の実費」を考えればいいのです。
転職するときも「45万円」が自分の力となる
ブラック企業、あるいはグレーな企業で勤めているときは、ぜひお金を貯めてください。お金を貯めることで、いつでも会社を辞めるチャンスが増えていきます。銀行の定期預金口座に45万円があれば、本当にブラックな会社から離れて、仕事と人生をリセットするチャンスが得られるのです。
繰り返しますが、「ブラックな会社を辞めると、生活できない」状態を改善しなければ「ブラック企業だけどまあ、給料もらえるし……」という状態を脱出できません。そして、この差はブラック企業の問題ではなく、自分の問題です。
結果として使わなくても、お金を貯めた経験はあなたの自信となり人生の選択肢を広げることでしょう。ぜひ、毎月5千円でも1万円でもいいので「45万円貯金」にチャレンジしてみてください。