東京駅から特急列車とバスを乗り継いで2時間半。
ちょっとした小旅行だが、ここでしか食べられないパンと料理を提供している店がある。
栗原淳平シェフが水戸市内にオープンさせた『La Maison du Pain KURIHARA(ラ・メゾン・デュ・パン クリハラ)』だ。
これまで出会ったなかで傑出していた、栗原シェフのクリームパン
パン好きの祭典「ISEPAN! 2022」へ行かれた方なら栗原シェフのクリームパンをご存知かもしれない。
カスタードクリームが濃厚で、豊満で、パンとカスタードクリームのバランスも完璧だった。これまで出会ったクリームパンのなかで傑出していた。
「ISEPAN!」で食べた栗原シェフのパンはクリームパンだけだったが、パン職人のセンスにいっぺんで惚れ込んでしまった。
栗原シェフが3店舗目となる『ラ・メゾン・デュ・パン クリハラ』を開業させたと聞き、電車とバスを乗り継ぎ、出かけることにしたのだ。
店に入った瞬間、驚いた。広々とした空間。シックな内装。観葉植物が点在する落ち着いた雰囲気。
まるでホテルのレストランのようだった。焼きたてのパンはもちろん、温かい料理を店内で食べることができる。
「ISEPAN! 2022」で食べたクリームパンもあったが、新作「奥久慈卵のたっぷり生クリームパン(280円/以下すべて外税)」を賞味することにした。カスタードクリームの上に、生クリームを添えたクリームパンだ。
4センチ四方の小さいパンだが、ずしりと重たかった。生クリームが軽さを演出していたが、カスタードクリームそのものは濃厚で、甘く、ねっとりとしていた。あまりにもおいしくて2個も平らげてしまった。
自信作は「常陸牛と溢れるチーズのハンバーガー」
「ここでしか食べられない料理もあります。私自身が『こんなチーズバーガーがあったらうれしいなあ』と思えるものを作りました。ぜひ召し上がってください」
待つことしばし。栗原シェフの自信作がテーブルに届いた。
ナイフとフォークで食べる「常陸牛と溢れるチーズのハンバーガー(1800円)」だ。
「チーズをあまり感じないチーズバーガーもありますが、名実ともにチーズバーガーを作りたくて、このハンバーガーを考えました。チーズを愉しんでいただけると思います」
ハンバーグは地元常陸牛100%。バンズは茨城産ゆめかおりを使用。チーズはスイス産ラクレット、デンマーク産マリボーチーズ、スイス産グリュイエールをブレンド。口のなかにチーズの香りと重厚な味わいが溢れてくる。
グリルの上で軽くこげたチーズがカリカリで芳ばしく、バーガー袋で食べるチーズバーガーとはひと味もふた味もことなり、美味極まった。
みずみずしいサラダがすばらしかった。噛む度にシャキシャキと心地良い音を響かせていた。
「野菜は、弟が減農薬で水耕栽培している野菜を使っています」
チーズを食べていることを実感できるハンバーガーだった。これを食べるために水戸まで足を伸ばす価値がある。