自社サイトをメディア化
Webサイトには岩上氏がゴウ氏の会社を敵対的買収したとかかれているが、実際の所は双方合意の上での円満合併だったようだ。
――LIGのオフィシャルサイトのアクセス数は、月間200万ほど。中小企業のサイトとしてはかなりの規模だが、どうして会社のサイトをメディア化しようと考えたのでしょうか。
ゴウ氏「昔から個人サイトで、面白動画を公開して笑いをとっていた。その発展で、会社合併の際に、LIGのWebサイトも、面白要素を入れたメディアとして大きくしたいと思ったんです。ただ、笑いが強すぎると、単なるお笑い会社と見られてしまうので、Web技術の記事もしっかりいれていこうとなった。社内で編集部も作って、半年かけてやっと形になってきたかなと思いますね。
当然、最初は社員から反発もありましたよ。ただでさえ忙しい業務に+αでしたから。でも自分の記事に読者からの反応がつくと、嬉しくなりますよね。そして、だんだん書くことが面白くなっていって、自分の技術を文章で表現できる力も強くなりましたね。これは実業でも大きな成果だった。社内でも技術情報を共有できるのも良かったですね」
――自社サイトをメディア化した事で何が変わったか。
岩上氏「問い合わせ件数は1年で5倍になりました。また、制作提案の段階でよくコンペになっていたのですが、最近ではコンペ案件がほぼ無くなりました。LIGにお願いしたい!と、直接お仕事を依頼されるケースが増えてきていると感じています。
また、サイトを作った後の運用についても、自社でメディアを運用している経験を活かしてサポート出来るのが最大の強みだと思っています。」
――仕事を受ける際に気をつけている事は
「とにかく人に尽くす。Webサイトを少しでも良くしようという心は絶対に忘れません。そうする事で信頼を勝ち取り、次の仕事につなげていくのが私達のやり方だと思っています。また、Web上でふざけた見え方をしている分、制作はしっかりと丁寧にやるというのも大切だと思っています。」
「おもしろ」にこだわる自社サイト制作
――そもそも、どうしてこういった笑いを取り入れた見せ方をしているのでしょうか
ゴウ氏「単純に僕らは無駄なことが好きなんです。100%仕事をしていると、なにか、うずうずと無駄なことをしたくなる。確かに会社の公式サイトに、”おもしろ”は無駄かもしれません。
しかし自分たちが楽しんでやった事を世に出していく。それが、おもしろいと話題になれば、アクセス数があがり、LIGの知名度も上がって、最終的に仕事につながる。この循環を作っていく事が大切だと思っています」
――自社サイトをメディア化したいという要望が多いと伺いましたが
岩上氏「自社サイトをメディア化する事のメリットは皆様も感じていると思います。現在LIGでは、そういった自社サイトのメディア化のお手伝いをさせていただいていて、ウェブ制作の専門家としての技術はもちろんですが、自分たちがやってきて培ったノウハウを元に、それぞれの会社の魅力を常に発信していけるようなサイト作りを行なっています」
楽しい社風には気を使いたい
拡大画像表示
両氏に聞くと、楽しい会社の雰囲気作りは社員がつくるものかなと考えているそうだ。
たとえば通常のWeb制作会社で置かれている技術資料や撮影資料の棚に、代わりに漫画本が並んでいる。これは、社員が自発的に持ち寄ったものらしく、「漫画は会話のきっかけになるし、顧客との話でも、そろえている漫画について話題になることがある」とのこと。
来訪時に感じたのだが、社員の整理整頓や、礼儀作法に対する意識は高い。来客はもちろん、宅配便の業者の人にも社長・副社長とも声を上げてあいさつする。この単純なことができていない会社が世の中で意外に多い。特に制作系・技術系の会社で、ここまで社員の接遇意識が高いのはなかなか無い。
社員応募についても、自社サイトから20人~30人の応募があるとのこと。しかもメディアに社員がほとんど露出していて、どのような会社なのか理解してから来るので、ミスマッチが少なく、面接がやりやすい。
なお、LIGには社長面接はない。岩上氏は面接にはタッチしないようで、理由は、「みんないい人に見えちゃって、全員採用しちゃう」からだそうだ。
これからのLIGについても語っていただいたが、あえて掲載しない。どんなストーリーが描かれるのか、LIGサイト読者をはじめとして、みんなで想像するのも楽しいのではないか。
取材前は、果たして取材になるのだろうか不安だったが、結論としてLIGは、そこらにある会社よりも、数段上と思える、しっかりした考えと展望がある、「本当の会社」だった。