アンドロイドの目がカメラになっていて、見たものを映像として保存できる、というのもお約束の設定だ。

『安堂ロイド』では沫嶋黎士がかけていたメガネが重要なアイテムになっていて、そのメガネをかけることで麻陽は沫嶋黎士が殺されたときの映像を確認できた。あの映像は沫嶋黎士を殺したラプラス(福田彩乃)から見た視点だったが、おそらくラプラスが保存していた映像を安堂ロイド側がハッキングして資料化していたんじゃないだろうか。

『絶対彼氏』では梨衣子に対するメッセージをナイトが映像として残していて、それをあとで梨衣子が見るという感動的なシーンとして使われていた。Q10の場合はややアナログで、耳にあるジャックとテレビのジャックをコードでつなげることで、自分で記録した映像をテレビに写すことができた。

 

何かと便利に使われる耳の穴

耳がジャックになっているというのは、典型的なアンドロイド“あるある”で、Q10だけでなく、安堂ロイドにもナイトにもそういう機能がついている。

ナイトは外部のコンピュータと接属するために使われていて、耳の裏にあるバーコードで個体識別したあとにパソコンと接続すると、すぐにプログラムの修復などができた。安堂ロイドは人工筋肉の再生に電力が必要で、故障した際に電圧をかけた薬剤のようなものを耳から送り込める設定になっている。

『安堂ロイド』ではナースの格好をしたサプリ(本田翼)が安堂ロイドの故障を治す係になっているが、じつは『絶対彼氏』でも原作ではナース型のアンドロイドが登場していた。ただ、これはメイド型、婦人警官型、セーラー服型などがあるLY(レディ)シリーズの恋人型ロボットで、他のロボットを治す機能はついていなかった。

サプリが安堂ロイドの修理に来るときは机の引き出しから現れるが、これがあの国民的漫画と同じように、『安堂ロイド』の世界でもタイムマシンの役割を担っているようだ。安堂ロイドが最初に2013年に現れたときと演出が違うので分かりにくいが、基本的には机に5Dプリンタがまずインストールされ、そこにプリントアウトされることによって安堂ロイドやサプリが未来からやってくるという設定になっているらしい。

『Q10』では地球儀型のボールがタイムマシンの代わりになっていて、これを使うと時空を移動できた。コントローラーはルービックキューブで、キューブの面の合わせ方で移動する空間が変わるような設定になっている。

『絶対彼氏』の場合は、原作ではクロノス・ヘブン社が現実の世界とは別の空間にあり、ワームホールのようなトンネルを使って行き来するシーンがあった。ただ、ドラマではそういう設定は削除されていて、梨衣子たちが暮らす同じ世界でアンドロイドが作られていることになっている。